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2002年04月12日(金) 自民党派閥政治の自己消耗

加藤紘一の完全失脚によって、
もはや自民党には総理総裁の候補たる有力政治家が払底してしまいました。
この事は、現在の派閥システムの下では、自民党政治そのものが
立ち行かなくなってきている事を示していると思います。.

一口に派閥と言っても、昔と今ではそのあり方が違ってきています。
成る程、確かに自民党には結成以来派閥が存在し、
そして派閥政治こそ自民党政治そのものでした。
しかし代替わりを続けるうちに派閥の性質は変わりました。
かつて派閥には、そのリーダーを総理総裁にしたい者たちが集まっていました。
「三角大福中」の五大派閥と言われた時代まではそうでした。
つまり田中角栄や三木武夫、福田赳夫、大平正芳、中曽根康弘を、
それぞれ総理総裁にしたい者の集まりが
田中派であり三木派であり、そして福田派、大平派、中曽根派でした。

今では、逆に派閥そのものを維持するために選ばれたリーダーという
要素が強くなっています。
その最たる例が派閥の代表的存在・橋本派です。
過去に、総理総裁を辞めた者が新たに派閥の領袖に選ばれた例はありません。
ドングリの背比べで、他の誰を会長にかついでも派閥内バランスが悪いので、
既に総理総裁を経験済みの橋本なら無難だったわけです。

また、こうした傾向が始まったのは、鈴木善幸や竹下登あたりからでしょう。
別に鈴木や竹下個人をどうしても総理総裁にしたかったわけではなく、
単に派閥の力を維持し、引き出してくれる者なら誰でもよかったのです。
今の自民党の派閥は、大なり小なり利権維持とポスト配分のための
利害調整機関に過ぎません。
しかしこの事が逆に派閥がなかなか潰れない要因にもなっています。

例えば、たかだか10名余りの高村派にも存在意味があるのは、
小人数であるがゆえに小回りが利き、効率よく入閣の順番が回ってくるからでしょう。
だから小泉が一内閣一閣僚を唱えているのは甚だ派閥にって具合の悪い事です。
すなわちポスト獲得の意味がなくなれば、派閥に集っている理由が半減します。
このところ、いろいろ口実をつけて内閣改造を要求しているのは、
単にポストを早くよこせという、それだけでしょう。
こうなると、もはや自民党ならぬ完全に”自分党”です。

当選5、6回で誰でも派閥順送りに大臣になれる仕組みは、
長期政権の生んだ弊害ですが、それでも昔は、
自分が総理総裁になって何をやりたいという志をそれなりに持ったリーダーが存在し、
またそれを担いでお互いに競っているところに派閥政治のいい面はまだありました。
与党内の擬似政権交代と言われた所以です。
今の派閥はむしろリーダーを否定し、単に個々の利益確保のための集団化し、
また、そのために自民党が政権与党であり続けていたいという、
政権維持のための政党に成り下がっているように思われます。
派閥連合体である自民党の自己消耗もここに極まれり.....というところでしょうか。


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