Memorandum
Memorandum
− メモランダム −
目次過去未来

2002年06月06日(木) ドイツ語習得にはオーストリアが最適!?

ドイツ語できぬ外国人は国外退去 オーストリアが新法案(朝日 6/5)

もう7,8年前になるが、オーストリアに1ヵ月程、行っていた事がある。
と言っても私に海外旅行の趣味はないし、勿論仕事でもない。
実はその頃、会社を辞めてヒマだったのだ。
すぐに仕事が見つかりそうもなかったし、また、探す気にもならなかったので、
その機会に外国に行ってみる気になり、貯金を叩いて一人で出掛けた。
行き先にオーストリア−ドイツ語圏を選んだのは、大学の第二外国語がドイツ語だったからだ。
それまで私には外国旅行経験は一度もないし、英語もロクに喋れない。
でもドイツ語圏なら、英語とドイツ語を両方混ぜれば何とかなるだろうという、
甚だ心もとない目算だった。
また、ドイツではなくてオーストリアに行ったのは、古い映画『第三の男』が印象的だったからで、
あまり深い理由はない。
ちなみにこの『第三の男』、オーストリア国内では評判がよくないそうだ。
終戦直後の四カ国占領当時のウィーンの暗い影の部分を描いているからだろう。
でも『第三の男』の名場面を巡回する観光コースがちゃんとあって、
映画の中でオーソン・ウェルズが逃げまわる、例の地下道の中まで(入り口だけだが)
専門のガイドが案内してくれる。勿論外国人観光客向けである。

そのオーストリアがドイツ語のできぬ外国人を国外退去させる法案を決定した。
低賃金の外国人労働者排斥する政策の一環である。
オーストリアは極右台頭が著しい欧州諸国の中でも、
いち早く極右政党である自由党が連立政権の一翼を担っている国だ。
かのヒトラーもオーストリア出身である。
でも私が行った頃は、そんな気配はまだ微塵も感じなかった。
勿論あったにしても、観光客は大事にするだろうから、気付かなかったかもしれない。
ハンガリー、ポーランド等の、隣接する旧社会主義国にも行ったが、
自由化されてまだ日が浅いせいか、街の印象が暗く市民の愛想も甚だ悪かった。
ブダペストではカフェでボッタクリにもあった。
ウィーンに戻った時には、故郷に帰ったようにほっとしたものだ。
でも今だったら物騒で、臆病者の私はとても行く気にならなかったろう。

それはともかく、
100時間でドイツ語習得というのは経験的に不可能である。
国外でやっているのと、ドイツ語圏内で日常にもドイツ語に接しているのではわけが違うだろうが、
せえぜえ話の要点がつかめ、簡単な意志表示できる程度が精一杯ではないのか。
この「統合法」のいうところ要求されているドイツ語力の程度がわからないが、
ドイツ語を習得して生活可能レベルと言えるまでには、倍以上の200〜300時間は必要だろう。
記事中の言語学者や左派系のシンクタンクの言うように、
明かに「外国人を社会に受け入れたくない」意図が見え見えの法案だ。

もっとも、もし私なら、生活がかかる事になれば、ちんたらやっているより必死にドイツ語習得に励むかもしれない。
ドイツ語を短期間で完全マスターしたい人は、今すぐオーストリアへGO!
…だろうか。
私も、もう1回行こう…かな?!


who |MAIL


My追加