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2002年08月12日(月) 日本ハムファイターズに見るプロ野球界の末路

プロ野球パ・リーグの日本ハムファイターズが2004年度から札幌に移転する事が
既に決まっている。
でもここに来て親会社の不祥事により、それが怪しくなってきた。

親会社・日本ハムの諸事情については、新聞紙上でしか知らぬ。
ただそれで見る限り、2代目のバカ社長を擁する典型的日本型企業の体質のようだ。
先代・大社社長(現会長)というのは、一代で日ハムを興し、
それを業界第一の会社にまで育て上げた、言わば立志伝中の人物である。
その2代目(義理の息子)が現社長。

このバカ殿を守るために、”家老”役の重役が罪を被ったり子会社に責任を押し付けている。
醜い限りの図式だ。
つまり会社の図体ばかりでかくても、所詮、近代企業ではないのである。
一つ皮を剥けば、「大社個人商店」の本質が露出してしまう。
21世紀になっても日本的な封建的経営形態の実態は、いまだ絶える事はない。

それはさておき、
プロ野球ファンとして気になるのはやはり、ファイターズの今後である。
赤字のプロ野球球団は会社のお荷物だから、
本社の経営が危なくなれば最初に切られる。
ファイターズのファンには申し訳ないが、身売りは必至のように思われる。
でも今日の状況において、莫大な金のかかる球団を買収する会社があるのか??
プロ野球界の前途も危ぶまれる事態だ。

言うまでもなく、ファイターズの前身は東映フライヤーズである。
東映…つまり映画会社だ。
1970年代前半、映画業界が斜陽化して東映がフライヤーズを手放した時、
最初にこれを買ったのは日拓ホームなる会社だった。
田中角栄首相の列島改造ブームに乗って急成長した土建系企業である。
でもそれも所詮あだ花、
インフレ不況ですぐに失速してしまい、わずか1年足らずで球団を手放した。
代って日ハムが球団を引き受けた。

ちなみにこの前後、
食品系企業がプロ野球界に進出している。
つまり、大映が経営母体であるオリオンズ(現マリーンズ)を買収したロッテ、
産経アトムズを譲り受けたヤクルト、等である。
更に言えば、電鉄系球団の撤退もこの頃に始まっている。
70年代に西鉄が一早く消滅したのに引き続いて、
80年代には阪急・南海が球団経営を放棄している
(中小電鉄の阪神は、セ・リーグなので救われている)。
代って登場したのは西武・ダイエー・オリックス等の流通系企業だった。
しかし現在は、ダイエーオリックスも経営が怪しい。
食品系も流通系もダメになったら、、、
プロ野球団を抱え得る企業はもう、なくなってしまうだろう。

唯一その体力のあるのは読売に象徴される新聞・メディア系だろう。
現に昨年末、大洋漁業(マルハ)からベイスターズを買いうけたのは
TBSである。
だからいっその事、アマチュアリズムの綺麗事に酔い痴れている朝日も
球団買収すればよいぐらいだ。
宅配による販売制度に甘えている新聞社は、
例えいかなる不況であろうが、業績が急激に落ちこむ事は想像し難い。

もっとも不況による企業からの広告収入の減少は痛いだろうから、
そこまでの余裕はないかな?

結局、プロ野球を衰退させるのは、サッカー人気でもナンでもなく…
単に、現今の不況であるだけか…。

企業スポーツとして発展してきた日本のスポーツ文化の脆弱さを、
改めて認識させる末路である。


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