Memorandum
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2002年11月01日(金) 松井メジャー行きで日本球界はどうなる?

かねて予想されていた通り、巨人の松井秀喜選手がFAメジャー行きを表明した。
この件に最も苦虫を噛み潰しているのがナベツネこと讀賣の渡辺恒雄オーナーだろう。
何しろ、讀賣の面子は丸潰れだ。
しかも、FA制度を提唱してこれを強引に導入したのもナベツネその人である。
まさか自分で自分の首を絞める結果になるとは思わなかっただろう。

FA制度が施行されたのは、松井の入団1年目である93年。
この年は長嶋茂雄の監督復帰1年目でもあった。
ナベツネが長嶋の無能さに不安を抱いた結果なのか、
単なる巨人大国主義的なエゴなのかは知らないが、
要するに球界の戦力を巨人が一人占めしようというのがFA制の魂胆だ。
現に、落合、広澤、清原、江藤、工藤らが次々巨人入りした。
逆に、落合に押し出された駒田以外は、巨人からFAで出ていった者はいない。
つまり、日本球界に巨人以上の存在がない限りは、FAで最も得をするのは巨人である。
従ってドラフトの逆指名制度と併せて、巨人一人勝ちの構図は揺るがないかに見えた。

ところがここに、思わぬ方向に事態は進展した。
それまではかなわぬ遠い夢だった、日本人選手のメジャーリーグ進出である。
この道は95年、野茂英雄が近鉄球団との軋轢の結果、強引にメジャー行きを
果たした事で開けた。
更に97年末には初めてFAを利用して吉井理人がメジャー入りし、
FA→メジャーは決して特異な出来事ではなくなった。
2001年には松井に並ぶ日本球界の最実力者イチローもメジャー入りし、
残るのはパンドラの函の最後の出し物…
つまり球界の盟主・巨人からのFA→メジャー入り(=松井)だったのだ。

おそらく巨人は松井引き留めにあらゆる手段を講じたに違いない。
何十億円も積んだろうし、或いは、政財界も動員し、おどしすかしもしたかもしれない。
それでも松井は引き留められなかったわけだ。
讀賣のメンツ丸潰れは実に小気味いいが、しかし、そう喜んでばかりもいられまい。

今後も続々スター選手のメジャー流出が続き、おそらく早晩、日本球界は崩壊する。
少なくとも古色蒼然たる巨人中心主義を続ける限りは、行きつく所まで行きつかねば収まらないだろう。
しかしそれも、やむをえないのかもしれない。

一旦、全てが枯れ果てた挙句、荒涼たる大地から再び種を蒔き水をやり、始める以外には。


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