たぶん言葉では一番伝わらないものだし、実は全然違うことを考えていたりもする。僕だって、そして誰だって。声、そして瞳。 実生活に於いても、またそれほど実際的ではなくても。 それはとても伝わらない。 かつて特別な声があった。かつて特別な瞳があったように。 僕はあとどれだけそんな素敵なものを集めることが出来るんだろう? そいつが僕を丸ごと縛りつけてくれるなら、人生にそんなに沢山の福音は要らないんじゃないだろうか? これがそうなんだ、そんな錯覚を起こすたびに僕はふっと思うんだけれど、人生に語るべきものは一つしかないけれど、それでも読むべきものとて、一つたりともあげることが出来ない。失っても、見当たらなくても、求める心は満たされなければ構わず回り続ける。 思い出したくもないけれど、心をその一点に向ければ、それは間違いなく本当で、きっと、それは消せないんじゃなくて、正しく あることを指し示している。 正しさは、とても強い力だ。
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