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ラヂオスターの悲劇
トマーシ
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2004年02月19日(木)
フラッティッド フィフス

戦車のプラモデルがあり、ロボットのプラモデルがあり、
もちろん飛行機のプラモデルもあった。全部で30体ばかし。
それを線路沿いの道路にズラリと並べている。
道路というか、それより少し高いところ、ちょっとした縁をひな壇にして。
そのプラモデル達を三人の子供が取り囲んでいる。三人、とても不思議な数字。
さん。

ここはとても淋しい場所。世界の大半の色はその乾いた、
軽い玩具に占められている。きっとその子供達の手もどうしようもなく乾いている。
喉もそして目も背中も
午後三時はどうしても通り抜けなければいけない時間だった。僕はそれを喫茶店の窓越しに見てる。一つの便法として、流行らない喫茶店は世界の叡智に少しだけ近い場所。浴びすぎた西日に、常にだるい体、痺れた頬。建物にそれらがこびりついている。でも僕の手はまったく乾いていない。ただかって乾いていた記憶がこびりついているのだ。気のせいだ。そう、スチームの効いた部屋と温かいオシボリ、その他、心を落ち着ける為の色々なまやかしに不自由はなかった。

でも何故だろう?僕は子供たちから目が離せないでいた。
彼らもなかなか次の遊びに向かうことが出来ないでいる。

僕にはそれをい当てることが出来た。彼らが次にすることも、
それから彼らに本当に必要なことも。
いつの間にか僕は自分の手を見ている。
乾いてなどいない。でもそれは求めているのだ。
だからそれは同じことだ。僕の手も僕の昔の手も彼らの手も
僕は昔、それを触れ合わせることが出来るかもしれないことを知らなかった。
彼らはそれを知っているかもしれないし、あるいは知らないのかもしれない。
僕はそんなにあやふやなことを目の前のガラス窓のせいにすることが出来る。
少しだけの叡智なんてそんなもの。僕はどの手を握ればいいのかいまだにわからない。

彼らは熱心にプラモデルに爆竹を詰め始めていた。相当な数のプラモデルだから
それは相当時間がかかるだろう。
こうやって僕は午後三時を乗り切ってきたのだから、結構色々なものは変わらなかったりする。

彼らは次に火を点けるだろう。
そのライターは多分ちょっとしたものだ。
渇きを忘れるほどに。
手が汗ばむほどに。