ヨシナシゴト

2001年06月18日(月) 小説のジャンル

 今回はいつも以上に勝手な事を書いてみようかな、と思います。

 最近、私はたまたま時代劇、社会風刺、恋愛、ファンタジーと連続して四つのジャンルの小説を読んだのですが、どうも読み終えたあとで共通する感想が浮かびました。
 今までも考えにまとめていないだけでわかってはいた(というか、殆どの方が薄々は気づいていると思う)のですが、どれも、結局は「人間同士の機微」という言葉であらわせると思うのです。まぁ、登場人物が人間で無いようなもの…例えばSFですとか、そういったものはテーマが全く別のものになるかもしれませんが、上司と部下の軋轢、恋人同士のすれ違い、偉い機関や人(登場キャラの親なども含む)の腐敗、偏見などは本当にどの小説を読んでも出てきます。

 今まで読んだ小説を思い返しても、大抵はこの三点セットから外れません。しかし、考えてみると近代文学…明治から昭和初期あたりの小説の多くはそれぞれが違ったテーマの下に様々な思想を描いている様に思えます。

 となると、現代文学というものは思想やエッセイ的な要素が薄れているというようにも考えられます。プロの作家たちがどのようなことを考えて小説を書いているのかは知りませんし、たまたま私がその様な現代文学に出会っていないだけなのかもしれませんが、世の大人の多くは小説と認めない富士見ファンタジア文庫や角川スニーカー文庫などと根本では何も変わらない様に思えます。延いては、ちょっとテーマ性を持たせたマンガやネット上に良く見られるアマチュアの小説などとも同じと言えるのではないでしょうか。技術や語彙のある、なしは別として。

 私は元々「小説に貴賎なし」という信条のもとに全ての小説に接しているので、内容があまり変わらない事はこれほど小説が溢れかえっている昨今ではむしろ当たり前だと思うのですが、権威ある賞の受賞者や有名作家などがそれら「どれとも同じ」小説を発表しているのかと思うといささか滑稽にも思えます。(賞を取るためにはテクニックが重要で受賞したから本当に凄いかというとそうでもないとか、そういうのはとりあえず置いておきます)

 あ、もちろん例外はなんにつけあると思いますよ。


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