朝、庭を歩く、まるで御爺ちゃんのような日課を持っている。 田舎の家の敷地といっても、そんなに広い訳じゃなく。 ただ、見渡す限り、緑。 其処を1時間以上かけて何度も同じ場所を歩く。
先ずは家の前の坂道に向かい。 すぐ側にある墓地を、道に座り込んで眺める。 いずれ自分もあの場所に眠るんだ。 いずれ、ばあちゃんも、父親も、きっと。 そうして焼け始めたアスファルトにてのひらを当てて。 立ち上がり今度は庭に向かう。 あたしのてのひらよりも大きい、ハイビスカスに似た花も。 赤い百合も、白い百合も。 もう、枯れ始めた。 テッセンも咲かなかった。 そんな中で以外だったのは、ゴーヤの花の匂いの強さ。 ジャスミンに似た甘い匂いがする。 蔓をトマトに絡めてまで、必死に生きていた。 裏山には実の落ちたブルーベリー。 栗も柿も柚子も在る。 柚子と山椒の木には、アゲハの幼虫が棲んでいて。 黄色い角で、蝉の抜け殻を威嚇してる。 オレンジ色の花は、ソテツに依存していたし。 カブトムシを踏むと、相変わらず乾いた良い音がする。 余命少ない蝉は、空の方から降ってきて。 砂利道の上、羽を縺れさせてないた。 蜘蛛の巣は濡れて雪みたいに積もり。 奇形児の様な薔薇は、撓垂れていた。
雨の日も止むことのない、脳みその中の世界創り。
|