⊂空襲⊃
2002年08月04日(日)

押し流された闇に

夕立を宛てがって

幾数頭の向日葵が

庭の真ん中でしなりを上げる

青い青い大気の奥に

昇る光が音を割ると

みそらの球体を回って知った

振動が鼓膜を叩く

暗いトンネルのむこう

おにやんまさえ進まない道

人肌に風

空から落ちて、刺す針

眠れない夜が連なり

ようやく迷子を覚えた頃の

深い藍色をした空が

僕に見せた

音の無い現実の世界

溺れた足の裏

雲が割れて

光が落ちる

何時か視ていた空襲の

骨組みのむこうの怒り

腕にしがむのは

誰のてのひら

目の前の騒々が

何故、こんなにも遠い

僕には何も興らない、と

もう息の失い身体

撫でて赤い桟橋を渡った




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由弥 [御手紙]