押し流された闇に
夕立を宛てがって
幾数頭の向日葵が
庭の真ん中でしなりを上げる
青い青い大気の奥に
昇る光が音を割ると
みそらの球体を回って知った
振動が鼓膜を叩く
暗いトンネルのむこう
おにやんまさえ進まない道
人肌に風
空から落ちて、刺す針
眠れない夜が連なり
ようやく迷子を覚えた頃の
深い藍色をした空が
僕に見せた
音の無い現実の世界
溺れた足の裏
雲が割れて
光が落ちる
何時か視ていた空襲の
骨組みのむこうの怒り
腕にしがむのは
誰のてのひら
目の前の騒々が
何故、こんなにも遠い
僕には何も興らない、と
もう息の失い身体
撫でて赤い桟橋を渡った
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