「CRIME OF LOVE」

ある写真を見て、3年ぶりに帰って来たひとを思う。
同じ地で呼吸している。手を伸ばせば届く場所に居るのだと実感する。
その気になれば触れる事は出来る。けれど、それを掴む事は出来ない。
二人が何も変わらなかったふりをするには、余分なものが増え過ぎた。
全て変わってしまったふりをするには、嘘が多過ぎる。

せめては狭い街で、間違っても偶然などが無いように。
せめては狭い街で、貴方の光にあたらないように。
そうやって生きているという事。
毎日確認するように呼吸しているのだとしても。

一人のひとを想う十年はそれほど永くはなかった。
夢から醒める夢が見たいと思う。
この手をのばそうとしない間に。
十字を切った胸元で、終わらない愛の罪科を歎く。


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