「四季を歩く」

今日は自宅に明るいうちに帰れたので、夕食を作って待ってくれている実家まで歩いて行きたい気分だった。

毎日、移動は原チャーリ一路。会社内でじたばたしている以外は歩く事など殆ど無い。躯がなまって挙句弱る腐る。防腐剤投与の一歩手前で。だいたい徒歩20分くらいの距離を散歩気分で歩く。

てちてち。てちてち。

普段は眼にも止まらない速度で景色をただ流し、会社自宅の往復。何の為に生きてんだとたまにふてくされてみても眼の前のものは何も変わらず。

嗚呼、でも。景色がこんなにあざやかなものだという事を忘れてた。蓮の莟の膨らむ季節。紫陽花がピンク色をしている。名も知らぬ花が咲いている。イマという季節を何も疑わず。哀しまず。無慮数万の美しさの中に生きている事を思い出した。


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