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分断された物語の行方
わたしが好んで読んでいる漫画や本のなかに、巻数の多いものがいくつかある。グイン・サーガとか、パタリロとか。わたしはそれらの新刊を買うとき、少しだけ悲しくなる。以前その本は、母が買ってくれていたから。漫画を買って読んだあとは、弟と感想を話したりしていたから。
母が出て行き、わたしが嫁ぎ、弟が出て行ったから、実家には父しかいない。ふたりはあまり実家に寄り付かない。たまに外で会ったとき、漫画を貸したり、本を借りたりしていたけれど、下手をすると電車代のほうが上回るんだよなーと思うと、つい買ってしまうことが増えた。
母親とは、彼女と関わるのがイヤになるできごとがあり、今後はほとんど会うことも、会話を(電話やメールでも)することもなくなると思う。弟は弟で忙しい。全員が同じ本や漫画をそれぞれ買ってるのかーと思ったり、今回の展開について語り合いたいなーと思ったとき、すぐ呼べば話せる距離にいないんだなと思うと、実家に皆がそろっていたのは、楽しいし楽だったなーと思う。
もちろん当時のわたしにしてみれば、両親不仲だし雰囲気は冷たいしで、そこにいて居心地がよかったとはけして言えないのだろうけれども。早く出て行きたいと願ったこともあったはずだけれど。でも。一緒に本を読める、その感想を話せるというのは、とても嬉しいことだったのは確かだ。いつしか分断されてしまった、物語の破片を手にしながら、たまにもう戻ることの出来ない世界を思い出してしまう。
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