umityanの日記
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靴騒動顛末記 at 2002 04/12 11:50 編集
最近、靴を買った。昔はスリムで細い靴がスマートに見えて好きだった。カモシカの足にあこがれていたからだ。今は、ガリバーやドナルドダックがはいているような、ごつい奴を愛用している。先が丸くて大きい。足を入れたとき、靴先の空間が広いため、足の自由がきいて履きやすいのだ。この靴に関して忘れられない思い出がある。一ヶ月前になるが、例によって、ガリバーの靴でどたどた歩いていたら、どうしたはずみか、片方の靴のかかとが取れてしまった。「ありゃ、へんだぞ。」と、感じながら歩いていた。しばらく気がつかなかったのだ。「どうもおかしい」と、足元をみやると、靴底のかかとがない。後方を見やると。僕のほうを向いて、ちょこんと歩道にすわっているではないか。なんたること。僕はあわてて引きかえし、かかとを拾った。決まりがわるいことこの上なしだ。幸い、往来している人が少なかったので、やれやれである。「さあ、どうしたらよかんべー」と考えながら、片足のかかとを浮かしながら歩いていた。そこで、ぱっとひらめいた。「そうそう、ここは、駅の近くだから、構内の靴修理屋さんがいたっけ」。ぎこちない足取りでさっそく出向いた。開いていた。良かった。拾ったかかとを差し出して、「ボンドかなにかでつけて頂戴」と言ったところ、修理屋さんいわく。「おにいちゃん、こりゃだめだ。新しいかかとに変えなくちゃ。またすぐ外れるよ。」「えええっつ、いくらするの?」と聞いたところ、千五百円くらいだったろうか、取り替えてもらうことにした。「こりゃあ、いい靴だ。サービスで磨いとくよ」ときた。更に「にいちゃん、靴の中敷はいい奴を使わなくちゃ、これが一番いいよ。千円だ」と勧められた。よく見ると、靴屋にあるのとはちょっと違うようだ。なんでも、豚の皮がよいらしい。「ええいい、買っちゃえ」、勢いだ。てなわけで、見事、靴底が復活。中敷は付録だ。両方、今も元気良く働いている。最近買った靴に話を戻そう。実はこの靴も中敷がなかったので、僕はわざわざ、駅まで買いに行った。そこのおっちゃんの言葉が妙に気にいったからだ。「中敷はいいのを使わなくちゃ」。その言葉だ。このおっちゃんは、年のころ60才くらいだろうか。その割には娘みたいにきれいな女房を連れ添っている。二人三脚で商売をやっているわけだ。僕は新調の靴を履いたまま、そこへ出かけ中敷を求めた。僕は何を思ったか、若い女房に靴を履いたまま足を差し出したところ、女房いわく。「あなたみたいなわがままなお客さんは初めて」と言いながら、僕の靴を脱がせて中敷を敷いてくれた。顔は笑っていたから、そう怒っているようではなかった。最初、何で僕がわがままなのか分からなかったが、「ああああ、靴を脱がないで足をさしだしたからか」と気付いた。おっちゃんは笑いながらこの光景を眺めていた。いやはや、僕もどういう神経をしているのか、思わず「あれっつ」ととぼけて笑ってしまった。なんだか、こういう人間関係っていいなああと思う。とんだ靴騒動顛末記でした。
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