大 将 日 記
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2004年12月13日(月) 多摩ふるさと物語

昨日、八王子まで行って来ました。

何をしに行ったかと言うと、船橋市民ミュージカルで大変お世話になった劇団空飛
ぶひつじが主催する、市民ミュージカルを観に行って来たんです。

演目は・・・
多摩市民ミュージカル2004『多摩ふるさと物語』
八王子市芸術文化会館いちょうホールで行われました。


船橋市民ミュージカル『金の船 銀の橋』は子供達が主体の現代劇部分と、大人達
アンサンブルが主体の船橋の民話や昔話のシーンに完全に分けられており、現代に
生きる子供達が船橋の町の事を知れば知るだけ、学校で起こるいろんな出来事・問
題事を解決する術を学んで行き、船橋の歴史があるからこそ今の自分達があるんだ
と言う事に最後は感謝をする。そんな物語でした。

フィナーレの子供達と昔話の登場人物が心の交流をした時は、壇上で演じていた私
自身が泣いてしまう程、格好良かったんですよぉ。観てない方は本当に残念ですね。

アンサンブルシーンはお互いのそれぞれの町の民話がありますから、全く同じ物を
出す訳には行きませんが、子供達主体の現代シーンは、船橋の時とほぼ同じ登場人
物と台詞で展開して行きました。

私は船橋の時は、船橋に昔から語り継がれている土地の騒動に出てくる百姓と町の
ヒーローの役を演じたので、今回の多摩の舞台には私と同じ役を演じる人は居ませ
んでしたが、一緒に行った人達は自分と同じ役を演じる人が居るので、それはそれ
は楽しみにしておりました。

一緒に行ったのは、船橋市民ミュージカルでミユウ役を演じた新井ゆかりちゃんと、
中国からの転校生・蓮を演じた野島萌子ちゃん。この二人は共に現在小学6年生で、
私の次回出演作『泣いた赤鬼』で共演する二人です。
そして一緒に行ったもう一人は、Key Stationから夕鶴みき姉さんが来てくれました。

もともと船橋ミュージカルで何箇所か振り付けも担当しておりまして、その振り付
けをそっくりそのまま使う為に、多摩のパンフレットにも夕鶴みきの名前はしっか
りスタッフの一人として記載されておりましたので、私とはまた別の立場で観に来
ておりました。

上演開始となり、懐かしいテーマ音楽と共に子供達が踊りながら出て来ました。
舞台上からは解らなかったと思いますが、何故か我々の席の周だけは妙な空気に包
まれていました。そりゃあそうです、我々が座っている所だけ、まるで今舞台上に
居る子供達と同じレッスンを受けていたかのように、一緒に唄い踊っているんです
よ。しかも完璧に!
舞台上の子供でも何人かは気が付いていたようで、たまに不思議そうな顔をしてこ
ちらを見ておりました。






















嫌な客ですねぇ。


今までずっと自分達が稽古して来た舞台を、全く見ず知らずの他の人が演じるとど
うなるのかと、かなり私は興味を持っていましたが、全然違和感はありませんでし
た。

ミユウ役のゆかりちゃんはこう言いました。

「ミユウ役の子って、なんか私に似てるぅ」

そうなんです。ほとんどの子供達が船橋の子供と雰囲気を似せているんです。もち
ろん体格や声質まで似せてる訳では無く、台詞の言い回しや立ち居振舞い、中には
表情も髪型も良く似てる子が同じ役をやっていたりしたので、観ているこっちが何
度かドキッとしたものです。だから違和感を感じなかったのだと思いますが、でも
これって裏を返せば演出家が船橋の子供達を認めている事になると思うんですよ。
船橋の子供達と同じ演技を求めたと思いますよ。中には船橋よりイイと思う子供も
若干居ましたが、それでも船橋と同じ物になっていたとはかなり船橋を高く評価し
て下さっていたのだろうと思います。

子供と言えど役者ですから、キッチリと自分の個性は主張して来ます。その個性を
感じさせるものの船橋の出演者から見ると、台本を渡されて自分で考えて役作りを
したと思える子は、ほんの数人で、あとはその自分の個性のまま、船橋の子供達が
演じている物を演じている。つまりもっと解りやすく言うと、これはあくまで例で
すが、多摩のミユウ役の子は、ミユウを演じてるのでは無く、船橋でミユウを演じ
ていたゆかりちゃんを演じているように見えてしまうんです。

私はある意味残念なコトがありました。

正直な話し、私達は台本を頂いてから役作りに相当な労力を費やしました。意図も
簡単に出来上がった役はひとつもありませんでした。笑わせる所や考えさせる所、
お客様からお金を頂いて観て頂く訳ですから、完全なる満足はさせられないものの、
観に来てよかったネと言われたい。私を知っている人からは、南風ってあんな事が
出来るんだねと驚かせたい。そんな思いで稽古時間は少なかったけれど与えられた
時間の中で、私や市民の皆さんが一生懸命に煮詰め、そして舞台上で出し切って拍
手喝采を浴びたのです。完全なる成功とは言いませんが、成功したと言う証拠に私
がロビーでお見送りをしていると、見知らぬ子供達が寄って来て一緒に写真を撮っ
てくれました。これは役者冥利につきますよ。こんなに嬉しい事は無いですよ。

煮詰めると言えば、蓮ちゃん役の萌子ちゃん。この子はもちろん日本人ですが、中
国人の役を演じました。本人は何処まで意識して演技をしたか解りませんが、本当
に中国人みたいに見えて来たんです。そして少し寂しげな雰囲気をクラスの中で上
手にかもし出していたと思います。だから最後の「みんな友達!」と言う台詞が凄
く生きて来たのです。その証拠に萌子ちゃんは、普段通っている本当の小学校でも、
皆から「みんな友達!」と言われて嬉しかったそうです。そう考えると、多摩の蓮
ちゃんは中国人には到底見えず、バリバリ元気な今時の日本人少女でして、萌子ちゃ
んが舞台中に

「多摩の蓮ちゃんは、元気だねぇ」

と呟いていたのは、結構大笑いでした。
もちろん、本当の萌子ちゃんは笑顔のと〜っても素敵な明るい女の子ですよ。


(最近、ご両親がこのHPを見始めたと言う情報を入手!!しかもお母様は「南風さんっていい人ねぇ」と言ってるらしい)


いやぁ、本当に萌子ちゃんは可愛いしイイ子だし、文句の付けようが無いですね。


(もう、これくらいで大丈夫かな? あまり誉めるとシツコイからな。うん)


で、何が残念な事だったかと言うと、別に萌子ちゃんが残念だった訳では全然無くて(コラ!)
今回の多摩のミュージカルを観た帰り道、私は姉さん達と悔しい思いをして帰りた
かったんです。多摩のミュージカルが素晴らし過ぎて、なんで船橋であれが出来な
かったんだろうって。逆に次回は、多摩を見返してやろうよって言いながら帰りた
かったのに、私は正直に言ってしまいました。

「俺達が出てあげたかった・・・」

限られた時間の中で作った舞台ですから大変だったのは充分承知しています。でも
それを言い訳にするのなら、お金を取ってはいけないと思います。
私達は物語の内容が若干違っていたものの、大筋でこの物語を知っていたし、4ヶ
月間も付き合って来たので愛着があった。だから多少の間違いが有っても楽しかっ
たし、ある意味で面白かった。でも、Key Stationメンバーが参加していたらもっと
詰め方が半端では無く面白く出
来た筈です。

楽屋を訪ねた時、子供達が達成感で泣いておりました。が、もしこの子達に船橋の
メンバーの生舞台を見せていたらきっと泣けなかったでしょう。船橋では子供達は
誰一人として泣いてなかった。それよりも向上心をすぐ見せて反省会が至る所で始
まったくらいだ。

もし今回、私達船橋の参加者が来ていると知っていたら、子供達はもっと張り切っ
たかもしれませんね。でも、多摩ミュージカルはまだ第1回目です。長い目で見れ
ば、来年は今年以上にもっと素晴らしい舞台にしてくれる筈でしょう。
そして逆に来年は多摩で上演した物を船橋でやってみるのも面白いかもしれません
ね。船橋の子供達は仲良くしてても自分が一番だと思っているライバル心が強い子
供が多いですからねぇ。そうすれば、来年度の船橋市民ミュージカルは凄い物にな
る事でしょう。

多摩市民ミュージカル参加者の皆様、本当にお疲れ様でした。
来年、大いに期待致しております。


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