死神の微笑み <15> - 2003年03月20日(木) いきなり少女が発した言語に、僕は驚きの声を出すことすらなかった。 今度は目だけじゃなく、首ごと動かして彼女の方を見たが、さっき見たときと変わったところは何もなかった。 しかし、その声は海風に乗って、どこか遠くから聞こえた種類のものではなかった。 それはほぼ確定的に、隣にいる少女から発せられたものに他ならなかった。 遠くまで伸びる細い糸のような声だったが、しっかり聞き取ることは出来た。 はっきりとした口の動きで「わたし、しにがみなの。」と言ったはずだ。 ・・・ワタシ、シニガミナノ・・・ それは明らかに日本語のくせに、いまいち僕の中に素直に入ってこなかった。 少女以外の人物が少女の口元のものすごく近いところで言った言葉のような気になった。 僕は混乱していた。 「死神なんだ?」と聞いても返事はなかった。 暗くてはっきりわからなかったが、少女の大きな印象的な目は、海の方を見つめているままだった。 「私、人を殺すことができるの。」 今度はしっかり口の動きを見ることができた。 少女はちゃんと自分の口を動かして、声を発していた。 ・・・殺すことができる?・・・ さっきとは違った衝撃が走った。 僕の混乱は、ますますひどくなった。 これまでにないくらい混乱していた。 「安心して。あなたは殺さない。」 この少女は一体、僕に何をしようとしているのだろう。 まったくわからなかった。 いきなり表れて、自分は死神で、人を殺せるけど、あなたは殺さない。 この状況を理解しろ、と言うほうが間違っている。 明らかに何かがおかしい。明らかに何がが欠けている。 欠けている?足りていない? −決定的に「何か」が足りていない− やれやれ、結局はここに帰ってくるのか。 「それじゃ、帰るね。」と少女は言いながら立ち上がって、あっという間に歩いていってしまった。 僕は浜辺に一人残されて、冷たい風にさらされていた。 それは荒々しい日本海の波にも負けないくらいの、まさに、嵐のような出来事だった。 日本でもずいぶん反戦デモが行われてるみたいですね。 まだまだ日本人も熱いじゃないか!! と、他人事のように考えている僕は、病院の待合室で親とひなたぼっこしてました。 まさに今、世界のどこかで空爆されているなんて全然実感ないし、 せっせと新しい小説の執筆活動に励んでおりました。 さっ、今日もお腹いっぱいご飯を食べるぞ!! ...
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