風の行方...深真珠

 

 

死神の微笑み <17> - 2003年03月22日(土)

そこは真っ白い世界だった。
見渡しても壁は見えないし見上げても天井は見えなかった。
どれくらい広い空間なのか検討もつかなかった。
それは僕の許容範囲を超えていた。
僕は独りっきりだった。
どんなに叫んでも返事は無かった。
試しに「バカヤロウ」と叫んでみた。
返事は無かった。
今度は「好きだ」と叫んでみた。
返事は無かった。
二つの言葉の響きにたいした違いを感じなかった。
急に僕に向けられた視線を感じた。
あたりを見回してみたがそれらしきものは見えなかった。
さっきと同じ真っ白い世界だった。
その視線は明らかに僕を狙っていた。
「殺される」と思った。
視線を感じる付近と反対側に思いっきり走り出した。
その視線も追いかけてきた。
必死に走った。
どこまでも走った。
成り振りかまわず走った。
殺されたくはなかった。
途中で一度振り向いてみたが何も見えなかった。
相変わらず真っ白い世界だった。
「視線」は徐々に距離を詰めてきた。
追いつかれるのは時間の問題だった。
それでも必死に走った。
力の限り走った。
足がちぎれるかと思った。
それでも走った。
長い間走って、くたくただった。
それでも走った。
自分の足につまづいて転んでしまった。
倒れたまま振り返ると「視線」はじっと僕を見ていた。
恐ろしかった。
もう、後ろへも右へも左へも動くことができなかった。
お尻を床につけたまま、必死に後ずさりした。
最後の抵抗だった。
「視線」はそんなことにかまわず、更に距離を詰めてきた。
殺されたくない。逃げなきゃ。そうだ、上に逃げればいい。上に逃げよう。
「あっ!どうやって上へ逃げればいいんだろう?」
と、口にしたところで目が覚めた。
不思議と、悪くない目覚めだった。


いっそのこと、自由の女神も東京タワーも万里の長城も
ピサの斜塔もサクラダファミリアもビックベンも凱旋門も
全部何もかも破壊しつくして、まっ平らになっちゃったら気持ちいいかも。
地平線までまっ平らで、そこから綺麗に朝日なんてあがってきちゃった日にゃ〜、
思わず拝んでしまうかもね。

なんて今日も変な妄想している深真珠でした。


...




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