風の行方...深真珠

 

 

死神の微笑み <18> - 2003年03月23日(日)

部屋にかけられた時計の針は、5時を示していた。

窓の外は暗かった。
街はまだ動き出していないし、空気はまだ浄化されている途中で、仕上げの段階なのだろうと思った。
これからアイロンをかけてシワを伸ばしていくのだろうか。
もう一度眠りにつこうと思ったが、眠れなかった。
今度は、少女のことを考えても眠れなかった。
TVをつけるとニュースが流れていたが、なんだか落ち着かなくてすぐに消した。
仕方なく、僕はずっと窓の外を見続けることにした。
10分経っても30分経っても飽きなかった。
僕はずっと星の並びや、街角からあがる煙を眺めたりしていた。
6時ごろから、西の空が段々明るくなってきた。
朝焼けが綺麗だった。
西から東に向かって、紅色から薄い青になって、それがだんだん濃くなって東の空はまだ黒く、そのグラデーションがなんとも言えなかった。
日が上がりきると、また景色は違う一面を見せた。
その景色はまさに絶景だった。
朝の優しい陽射しは低いところから街中に降り注いでいて、冷たい空気を切り裂くような勢いで鳥が何匹も飛び、民家の片隅に消えていった。
青い海では、無数の小さな波が押し寄せてきていた。
陽射しが波に反射して、宝石みたいにキラキラ輝いていた。
朝焼けからの一連の風景をそのまま連れ去りたいと思った。
そして、宝石箱の中に入れて、大事にしまっておきたかった。
チェックインの時に、朝食抜きのプランにしていたので、7時を待って、近くのコンビにまで買いに行くことにした。
さすがに新潟の朝は寒かった。
昨夜届いていて、まだ返事を出していなかった携帯メールを見てみた。
「お前好みのかわゆい女の子がいたのになぁ。ごちそうさま(笑)」
返事するような内容でもなかった。
僕は携帯をポケットに入れた後、冷たい空気が黒いコートの繊維の隙間から内側に入り込んできて、
シャツを通り、下着を貫いて、僕の皮膚に静かに触れ、皮膚の表面からじわじわと凍えさせていっているところを想像した。
やがて神経が麻痺をして、筋肉が凍り、意識が遠くなっていく。
考えただけで、体の心まで凍ってしまいそうな気がした。
あの笑顔の素敵な駅員が言ったように、空気が澄んでいるように思えたが、夜の間に浄化されているというところまでは感じることができなかった。


「幾つに成れば寂しさや恐怖は消え得る」

椎名林檎の「意識」という曲の歌詞。
特に上の部分の歌詞が好きです。
きっと僕が林檎に惹かれるところはここだと思う。
この部分を聞くたびに「ドキッ」とする。
僕が欲していることはきっとそういうことなんだろうと思う。

今日、本と雑誌6冊買った。
半分は衝動買いだ。

のどが渇いた・・・。


...




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