死神の微笑み <34> - 2003年04月08日(火) 真っ白い世界で見る少女の姿にかなり違和感を覚えた。 白の中で黒が埋もれてしまっているのか、黒の世界を白が押しつぶそうとしているのか、もしくは共存しているのかわからなかった。 おかげで僕の遠近感はすっかり狂ってしまって、少女と自分との距離を正確に掴めないでいた。 少女は僕のほうへ歩き出した。 まったく雪など気にしていないような歩き方だった。 少女は僕の隣に立ち、海の方を見ていた。 僕は、背中を海へ向け、首だけねじって少女の横顔を見ていた。 少女は、膝下まであるロングコートを着ていて、黒いブーツを履いていた。 僕は少女に習って海の方に体を向けた。 海はさっきより荒れている気がした。 −これも少女のしわざなのか?− 「君は本当に死神なのか?」 思わず口にしてしまった。 全然声に出す気はなかったのに、口がひとりでに動いて、声帯がそれに合わせて震えていた。 まずいことを言ったんじゃないかと思い、少女の横顔を見てみたが変わった様子は何もなかった。 相変わらず海の方を見ていたし、相変わらずかわいかった。 「今年の初雪だね。」 少女の声は今日も僕に遠くまで伸びる細い糸を連想させた。 「本当に綺麗だよね。こんなに大量の雪は初めて見たよ。田舎には雪は降らないし、大阪では滅多に積もらない。 朝起きて、窓の外を見た時は本当に感動した。君は毎年見られるんでしょ。うらやましい。」 少女は少し黙ってから、 「朝起きてここに来るまで、それしか考えなかったの?」 と言った。 それは呆れているようにも聞こえたし、怒っているようにも聞こえた。 でも、その声はやっぱり遠くまで伸びる細い糸のようだった。 それから長い沈黙が続いた。 何か僕から言い出さなくてはいけないと思いながら、少女の機嫌を損ねたんじゃないかという思いが頭によぎって、 僕はうまく声を出すことができなくなっていた。 長い沈黙の間も、恐ろしく冷たい海風は吹き続けていて、僕の体を素通りしていっているようだった。 この浜辺に対して、僕の存在が小さすぎた。 この世界に対して、僕の存在は価値があるものではなかった。 「風の行方 深真珠」で検索された方がいらっしゃいました。 というわけで、とってもご機嫌な深真珠です。 こんばんわ。 ちょっと前の事だけど宮崎駿監督がインタビューに答えている映像を見ました。 そこで 「川を汚したのは誰だって子供に聞かれたら、それは私たちの世代なんだって、言うしかないんですよ」 とコメントしていた。 どんな質問だったのか、そのあとなんと言ったのかさっぱり覚えていない。 そこだけ強烈に覚えている。 「この人、潔いんだな」と思った。 そして、本当に子供が好きなんだと思った。 高度経済成長を支えた団塊の世代と呼ばれる人達のことを批判する気も否定する気もない。 むしろ尊敬すらする。 僕には到底できそうにないからだ。 でも、仕事だけに力を注いだことで起こってしまった負の遺産を、 そのまま素直に認められるってことは、並大抵のことじゃないと思う。 「でもな、俺達の時代はな・・・」と誰しも言ってしまうだろう。 起こってしまった戦争を、 なかなか止められない環境破壊を、 悪化する治安を、 改善しない景気を、 我々のせいだといえる人はほとんどいないだろう。 ...
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