風の行方...深真珠

 

 

死神の微笑み <41> - 2003年04月15日(火)

「泣いてるの?大丈夫?」
「あのね・・・あのね・・・」
電話を通してだったが、少女には相手の悲しみが痛いほどわかった。
「みゆきちゃんが死んじゃったの。」
少女はその言葉をちゃんと理解しきれなかった。
−死んだ−
「家族みんなで・・・ご飯・・・食べに行って・・・その帰り・・・に・・・事故に・・・合っちゃっ・・・たって・・・」
電話の向こうでは、友達が泣きながら悲報を必死に伝えてくれようとしているのだが、少女は曖昧な返事を繰り返すしかなかった。
少女は受話器を置いて、まず母親に知らせなきゃと思い、母親の部屋のドアをノックした。
・・・返事はなかった。 
もう一回ノックした。
・・・返事はなかった。
少女は、この世界で自分ひとり取り残された気になった。
もう一度ノックした。
しばらくして、ドアがやる気なさそうに少しだけ開き、そこから母親が用心深げに覗いていた。
「あなただったの。どうかしたの?」
そういうと母親はドアを全部開き、少女を上から見下ろした。
「私、人を殺しちゃった。」
少女がそういうと、母親はびっくりしたような顔をして、向かい側の父親の部屋に走っていった。
「あなた!あなた!大丈夫?」
と激しくノックを繰り返し、ドアノブをまわそうとしたが開かなかった。
母親の顔から血の気が引き、ドアをたたく手にさらに力が入った。
しばらくすると、父親の部屋のドアが開いた。
「あなた!大丈夫?」
「なんなんだよ。うるさいなぁ。」
と父親がでてきた。
「どうしたんだよ、一体。」
「あの子が、人を殺したって言うから、あなたを殺したんじゃないかと思って。」
父親は少女のところまで歩いてくると、
「嘘はいけないぞ。お母さんをからかうのもいいかんげんにしなさい。」
と言った。
少女は父親を真っ赤な目で見上げながら言い返した。
「みゆきちゃんを殺したのは私だもん。」


親を見ていると命っていうのは、切り取られているんじゃなくて、
削られていっている気がする。
それも少しずつ少しずつ着実に擦り減っていっている。
肉体的にも精神的にも。

人生はサディストだ。
しかも性質が悪いサディストだ。

僕までも擦り減っているような気になる。


Always remember,others may hate you,but those who hate you don't win unless you hate them.


...




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