カウントシープ
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2005年04月05日(火) ダニーの指

誰だって自分のことを知って欲しいし、一方では暴かれたくない。人には他者との距離というものがあって、完全に融合することなどできないし、そうなった世界は恐ろしい境界線のない世界だろう。

ボクはとってもナルシストなのだと思うけれど、随分前から双子妄想みたいなのがあって、最近はそれは薄れてきて、それはボクの対象をボク以外にちゃんと見つけているからだと思う。

『この世界にもう1人のボクがいて、そいつはボクと同じものでできているからボクを全部理解していて、ボクはボクが持っているどんな部分をも隠すこともなく振舞うことができる。ボクを許してくれる存在』

例えば子供が、鏡の中に映った自分と話したり、映画『シャイニング』の中でダニー少年が自分の指に名前をつけて話してみたりしているが、子供達の心には時に、こういうもう1人の自分という対象が生まれるケースがある。

大人になったボクの場合は、これがもうナルシストの極みでどうよ?って思うんだけれど、一体誰がボクを許してくれないというのかっていうと、誰もそうは思っていなくて、自分が自分を許していないだけ、それだけボクは自分はもっとすごい奴だって理想だけ高くて、それに見合わない自分にたいしてメソメソいじけてるだけなのだ。

まあ、この双子妄想はあくまでファンタジーだけれど(最近のクローン技術が進化するとそれも怪しいが)、それが現実的なものとなりえるファンタジーがある。それは多分、子供を産むという行為で、この場合もやっぱり、自分と同じものは産まれてこないのだけれど、親は子供のことを解りたいと思うし、一体感を夢見ることだってあるように思う。程度の問題によっては深刻な心の侵食となりえる危険を孕んでいるけれど、最も甘美な空想のひとつは、子宮の中が楽園だってことじゃないかな。


ロビン