カウントシープ
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『もうこの世界にはいない』
そういう対象がボクにはまだ居ない。死してまた再開したい相手がいない。父方母方両方の祖父母は、顔も殆ど思い出せないし、両親は幸いまだ生きている。ボクが選んだ動物達は誰もまだ死んでいないし、家で飼っていた小動物たちが死んだときは、涙を流すほど悲しいと感じなかった。
きっと家族(と感じる相手)が死んだとき泣くんじゃないかな、そう思うし思っていたいのだろう。
もう居ない相手を探して彷徨う心を知っている。死んでしまって何年も何十年も経っても、会えることを期待して生きている。対象が死んだことを受け取ったらもうその心は生きる目的を失ってしまう。それは死ぬ時期なのか。
あるいは次なる目的を探せるなら、それは幸いなことなのだろうか。人が生きている時間が長ければ長いほどいいなんて、誰にも測れないことだけれど、追い求めるものが手に入らないジレンマにほとほと疲れた頃に、人の死期が近づいてくる。そのタイミングを逃してしまったら、そこには狂気が残るだけかもしれない。
ロビン
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