カウントシープ
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2005年05月23日(月) モランはずっとモランのまま

寂しい=モラン(※ムーミン一家のお話に出てくる登場人物)なボクだが、モランは本当に寂しい。

冷たい息を吐くので、傍に寄ればみんな凍ってしまう。だから、友達が誰もいなくてひとりぼっち。
歩いた後はみんな凍って、草花も生えなくなってしまうので、みんなモランが来ることを恐れている。だから、誰にも歓迎されない。

一体どうしてこんなに寂しいモランを、作者のトーベ・ヤンソンは生み出したのかしら?と思うくらいに徹底的に寂しいモランだが、きっと人気のあるキャラクターだろう。

ひとつのお話の登場人物は、全員をひっくるめて1人の人間の心ができるように、バラバラのピースとして成り立っている。キャラが際立っているのはあたりまえで、バランスよいキャラばかりいたら、お話は回っていかないのだ。
だが、それにしてもムーミン一家に登場するキャラときたら、際立つこと限りない。癖も個性もありもありのヤツラで満載のなかなか恐ろしいお話なのだ。

子供の頃に、ムーミンパパが家出をする話が好きじゃなかった。パパにはずっとパパで居てほしいのに、そのパパが家族を捨てていなくなってしまうなんて!それをそっと見守り、待ち続けるママには半分安心し、半分怒らないママも不気味だった。
ボクのパパなら家出なんてしないし、もし家出なんてしたらママはきっとヒスって家中大騒ぎして、挙句に「もう死ぬ」とか叫びだすに違いないのだ。ボクの家は、ムーミンの家とは違うけれど、やっぱりあんまりいい家庭じゃなかったと、この日記を書きながらよく解ったけれど、とにかく自分の家はおいておいて、お話の中のムーミン一家が崩壊することは、いい気分じゃなかった。

それをお話に書いて出版してしまうトーベ・ヤンソンって一体どんな人なんだろう?モランを心に住まわせている人なのだから、うんと寂しい気持ちを知っている人なのだろうな、と思うのだけれど、彼女のことは何も知らない。

でも、寂しい悲しいモランだけれど、モランに友達を作って欲しいわけじゃないのだ。友達ができたらそれはもうモランじゃなくなってしまうから。スティンキーは悪い奴のままで、フィリフィヨンカは見栄っ張りのままで、スナフキンは自由人のままでいて欲しい。お話の中だけ、みんな変わらずにいられるのだから。


ロビン