カウントシープ
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ずっと絵を描いていないが、球体間接人形のフェイスにペイントしていたりして、絵に近いことはしている。別に絵が嫌いになったわけじゃない。いつだって、会議中だって絵は落書きしているし、頭の中ではいろいろ構図を考えているし、上手い絵に出合うと簡単と尊敬と嫉妬もする。だけれど、今はまだ描けない。
描けない理由は・・・単純にほかのこと(ヴァイオリンや人形)に忙しいからと言い訳もできるけれど、今は描こうと思えないからだろうか。自分の限界などとっくにわかっているつもりだし、限界に左右されないで自分の書きたい絵を描いたらいいということも知っているつもりだ。 でもでもでもでも、描くより先に人形に手が伸びてしまうのは・・・
自在するものが欲しいのか?手に触れる対象が欲しいのか?
相方が癌になって、一人ぼっちになるかもしれないと思ったころから、ボクはどこか弱っているように思う。ゲイのボク達の関係など、世間的にはただの他人であり、病気を理由にしてボクから相方を奪っていくように思えた。「今はあなたに預けておく」という向こうのママの言葉は宣戦布告にも思えた。ボク達を引き離さないで欲しいと思うのに、ボク達をつなぐものは、世間的にはただの友情、なのだ。紙切れ一枚といえど、結婚の証明書もなく、残してあげられる相続物もない。
ボクは遺言を作ってあって、ボクが今までに稼いだお金は全部、相方にいくようにしてあるけれど、それだってたいしたお金じゃない。逆に相方が先に死んだって、遺体はボクから引き剥がされて沖縄に持ちされれてしまう。ずっと一緒にいられないのだと思うと、今、目に見えて触っていられる間に確かなものを沢山作っておきたいと思うのだけれど、 確かなものを得ようとして、得られるものなどまたひとつもないのだ。
ロビン
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