| 2001年09月25日(火) |
佐伯泰英「密命(見参!寒月霞斬り)」から「密命」第2弾へ |
佐伯泰英「密命(見参!寒月霞斬り)」から「密命」第2弾へ 「密命(見参!寒月霞斬り)」(祥伝社文庫1999.1)を読了。 七話からなる連作短編形式の長編で、全体を貫く大きな事件があり、それとは別に身近の市井の出来事と関わる中で主人公金杉惣三郎の人脈が形成され、やがてその大本の事件に結びついていく風の物語である。藤沢周平風と言えなくもない印象もある。はじめはなかなか大きな陰謀につながっていかない、ゆったりとした進行にややじれったくなるが、この物語の世界は結構大きいことに気がつく。後半はなんと船対船のガチンコ対決なのだ。あのホーンブロワーもかくやという器量の話になるのである。 全447ページ。もちろん、随所に剣戟の場面もあり、泣かせる場面もありで、作者の多彩さ、器量の大きさ、懐の深さを実感した。これもまた傑作であった。 そして、これも書き下ろしなのだ。 こうなると次の「密命(弦月三十二人斬り)」に行くしかなかった。 で、今、二五六ページのところである。諸般の事情から中断してこれを書いているのだが、もう本に戻りたい。前作からいつのまにか七年ほどたっているのだが、あの「伊賀の影丸」を思わせる冒頭の忍者襲来場面から目が離せない疾走感で話は進んでいく。 活劇と謀略がうまいぐあいに結びつき前作とまた一味違う傑作である。泣かせる場面は前作よりも多い。活劇も前作よりも迫力がある。 早く読みたい。 明日から一週間ほど旅に出るのでその間更新できない。 「夜のフロスト」は125ページで止まっている。これも読みたいのに。 というわけで、「弦月三十二人斬り」の方へ行く。
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