読書日記

2001年11月28日(水) 宮部みゆき「いしまくら」(別冊文藝春秋)を読み、確信。

 宮部みゆき「いしまくら」(別冊文藝春秋)を読み、確信。別冊文藝春秋1999年春号、直木賞受賞第一作の短編は宮部みゆきが日本の代表的作家の道を歩んでいる事を示す、好感度満点の作品である。
父と娘の関係、女子高生の援助交際、二世代同居問題、携帯電話などの現代的風俗・題材と幽霊や「石枕」という民間伝承をからませて二つの殺人事件を結びつけていく腕前は、何をどう書いても佳作を生み出し続けていくことを確信させる。事件のアイデアと登場人物の性格や生活、人生観などが一緒に作者の頭に閃くのだろうか。手際よく語られる事件の推移と登場人物の魅力が相まって心地よく読者は物語の世界に誘われていく。あのジャック・ヒギンズの作品のように端役ですらちょっとした印象を読者に残す、「手練れ」としか言いようがない。
日本人はこの作者の物語の面白さを知ってしまった。もう放さないだろう。
なんてね。


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