読書日記

2002年01月19日(土) 椎名誠「本の雑誌血風録」(朝日文庫)「新宿熱風どかどか団」(朝日文庫)を読む。

椎名誠「本の雑誌血風録」(朝日文庫2000.8.1)「新宿熱風どかどか団」(朝日文庫2001.8.1)を読む。
徐々にエッセイ化していっている自伝的大河小説。週刊文春連載のエッセイとの違いが少しずつ消え、どこかで融合しそうな気配。現代日本の私小説作家の極北というべきか。
身辺の何を書いても面白い小説やエッセイになるというすばらしい作家である。
二冊読んで印象に残った人物は情報センター出版局の星山編集長である。椎名誠にとっては本の雑誌社関係の人々と同じように大切な人のようである。
「哀愁の町に霧が降るのだ」「新橋烏森口青春編」「銀座のカラス」と続けて読み、そのあと暫く間が空いて、また椎名誠に戻ってきたわけだが、この読書はややノスタルジックな読書になった。
「本の雑誌」がいつ出て、どこで買えるかわからなかったかつての時代が懐かしい。あんな風に主体的に自分が動かなければ手に入らない、あるいは動いても手に入らないスリルは最近はとんとない(なくて幸福だが)。
今回「おすすめ文庫王国」が見つからずすこしいらついたが、都市部に行けばあることは分かっていたから、本質的にスリルとは言えない。
前にも書いた通り、目黒考二の文章を「小説推理」で毎月読むことで「本の雑誌」への飢えを癒し、「哀愁の町に霧が降るのだ」の下巻を本当に出るか不安になりながらも待ち遠しく思っていた日々がシンプルで良かったような気がする。
と、こちらがいろいろな事を思う種本であった。


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