読書日記

2002年03月05日(火) 芦原すなお「ミミズクとオリーブ」(創元推理文庫)を少し。

芦原すなお「ミミズクとオリーブ」(創元推理文庫)を少し。
こういうのを「癒し」というのか「弱し」というのか、ちょっと不思議な魅力を持つ妻に頭が上がらない夫の話を聞いて妙に心地よいものを覚えるところがある。なぜか軟弱が気持ちいい。
あまり売れていそうにない小説家が語り手でその「ぼく」と妻とが主人公である。ワトソンとホームズの物語を日本の普通の家庭に持ち込んだら、例えばこんな小説になったという和風家庭ミステリ小説といえるかもしれない。
全七篇の連作短編集で最初の表題作「ミミズクとオリーブ」を読んだ。「ぼく」の友人が突然最愛の奥さんに去られて相談に来る。友人の説明では家出をした理由が「ぼく」にはわからないが、妙に「勘」のよい「妻」にはわかったらしい、というような話が軽妙で素直そうな文章で語られるのである。
気分転換に最適とでも呼べそうなのんびりた感じの文章と「ぼく」の「妻」の魅力が相まってたいした話でもないのに一読忘れがたい印象を残した。
作者は「青春デンデケデケデケ」の作者である。

さて、半村良氏が亡くなった。六十八才は惜しい。SFマガジンの時代からよく読んでいたので(ので、と繋ぐのも変だが)死ぬとは全く思っていなかった。不死の人と思い込んでいた。山田風太郎に呼ばれて半村良もあちらへ出かけてしまった。「軍靴の響き」だけが残された。やはりまず「月の裏側」に寄ったのだろうか。
なんともはや冥福を祈ります。


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