読書日記

2002年03月20日(水) 平岩弓枝「妖怪」(文春文庫)を少し。

平岩弓枝「妖怪」(文春文庫)を少し。
昔、かみそり半蔵という与力を主人公にした漫画を読んでいた影響からか、その半蔵の巨大な敵として物凄い形相で描かれていた「妖怪」南町奉行の鳥居甲斐守は強烈に印象に残り、気になる人物だった。とても実在の人物とは思えないほど「妖怪」的だったが。
その「妖怪」が主人公なので、興味津々で手にとった本である。著者については正直あまり関心はなかった。しかし、ちょっと読んで、失礼な言い方ながら手練れの作家であることがわかる。
冒頭の水野忠邦の屋敷前に群衆が押し寄せているところに甲斐守が登場する動の場面も、次の甲斐守が一人沈思する場面も、熟練の文章で見事である。
時代活劇小説でないのは明らかで、「妖怪」の人間像に迫る渋い小説のようである。
少し前に佐伯氏が「妖怪狩り」と題する新作を出しているので近いうちに読むつもりでいたが、その前に読んでしまいたいものだ。


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