2002年08月07日(水) |
茅田砂胡『スカーレット・ウイザード』全5巻(中央公論社1999/07/25〜2001/04/06)を一気に読む。 |
茅田砂胡『スカーレット・ウイザード』全5巻(中央公論社1999/07/25〜2001/04/06)を一気に読む。 前作の『デルフィニア戦記』を思い出す。奇想天外常識破りの主人公にそこの全世界が振り回される設定は同じ。SFであるにしてもやっていることは『デルフィニア戦記』そのもので今回はたまたま3分の1以下の長さで終わっただけ。最後の辻褄合わせはいつ思いついたのかという疑問がどうしても浮かんでくる。もっと壮大な辻褄合わせも計画しているとすると作者ははり日本人離れした天才なのだ。 可愛らしいイラストのせいでコミック的なイメージがつきまとうのはむしろ損であの『銀河英雄伝』と肩を並べる面白さ。
我孫子武丸・牧野修・田中啓文『三人のゴーストハンター(国枝特殊警備ファイル)』(集英社2001/05/30)はゆるゆると読んだ。 全十二編からなる連作集。競作なので三人三様の特色が出ている異色作と言うべきか。共通の設定で自由に遊んでいる風だが、短編としての枠内での完成度がいずれも高い。 三人とも確かな腕前を持っていることを証明した画期的企画。
若桜木虔『プロ作家養成塾(小説の書き方すべて教えます)』(ベスト新書2002/04/01)を一気読み。 前作の『作家養成講座』を面白く読んだのでまた買ってみた。 この著者の文章力と構成力は確かで内容がわかりやくすいすい読める。実際の小説の方はあまり読む気が起きないのも不思議だが、この「作家養成もの」は作家の裏側がわかるので有意義な感じもして熟読している。 解説が鈴木輝一郎氏で短いがこちらも本気で読ませる。
佐野眞一『旅する巨人(渋沢敬三と宮本常一)』(文藝春秋1996/11/30)をやっと読み上げる。 渋沢敬三のことに興味がわかないせいかその話題になると読書ペースがぐっと落ちるので一気には読めなかった。宮本常一の部分はすっと頭に入ってくるので終盤は調子よく読めた。そろそろと続編の『宮本常一が見た日本』を読み始めている。 宮本常一の文章も読んでみたい。
齋藤孝『子どもに伝えたい<三つの力>(生きる力を鍛える)』(NHKブックス2001/11/20)は「当たり」 近所の本屋さんは大量の雑誌・大量のコミックス・そこそこの文庫本・少量の単行本プラスαで「本との出会い」は経験しにくい。昔の文房具屋を兼ねる薄暗い小さな本屋でもなにかしらの「出会い」はあった。今は店内は明るいがよく売れているような本しか揃えていないからないものはない。どこの本屋も同じような「品揃え」だからどこに行ってもないものはない。 多少図書館に頼るのも仕方がない。 「出会い」を求めるには本の数が多過ぎるが。 先だって市立の上のランクの図書館で日垣隆『学問のヒント』を借りようとしたが、蔵書になかった。このランクの図書館なら講談社現代新書はすべてそろっているはずというのは幻想だった。隣の市の図書館にあることはつきとめてくれたのは流石だったが、ちょっと失望した。 それにしても『学問のヒント』は見つからなかった。近在の本屋さん、古本屋さん、新古書店、図書館など出来うる限りのことはしたが、まったく存在していなかった。普通これだけ(自分でそう思う「これだけ」)探していると天の配剤かひょっとした感じで見つけることがあるのにこの本だけは「皆無」だった。 忘れた頃に見つかるという法則も当てはまらなかった。 そして、反則だなと思いつつ上位図書館に頼ったらそこにもないと分かった時は複雑な心境だった。 さて、齋藤孝氏は最近『声に出して読みたい日本語』がベストセラーになっている。そういう著者にはあまり近づかない傾向が自分にはあるのでしばらく縁がなかった。 最近、苅谷剛彦『教育改革の幻想』(ちくま新書)を読んだせいかもしれない。 住んでいる街から百七十キロほど離れた本屋さんで何気なく手にとって(こういう本はわが街には置いていない)目次を見て惑わされてしまった。 具体的で話の展開がよさそうだ。 10分程迷って決めた。 読んだ。 読みやすい。やはり具体的で実践がある。 ベストセラーになった著書があることによって食わず嫌いや誤解、偏見があるかもしれないが、この著者がやっていることは面白そうだし、やってみたくなるところがある。 なによりも考えていることが独創的な気がする。検証は出来ないが「本物」の実践研究家(こんな言葉はないか)として認めておきたい。 一種の文化的総合格闘家。 他の著書も読んでみたくなった。
牧野修『傀儡后』(早川書房)ちょっと脇にどけてある。 この新しいシリーズの読破は楽しそうなので忘れないようにしよう。
高橋英夫『友情の文学誌』(岩波新書)の「漱石と子規」の章を読了。感心まではゆかず。
小松成美『ビートルズが愛した女(アストリット・Kの存在)』(幻冬舎文庫)を42頁まで読んでみた。 スチュアート・サトクリフの存在を初めて知った。昔、もっとビートルズが好きだった時には知っていた事柄かもしれないが。
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