読書日記

2003年02月15日(土) 鹿島茂『それでも古書を買いました』(白水社)

鹿島茂『それでも古書を買いました』(白水社1900円2003年1月25日発行p242)

19世紀のフランス文学研究者はおおむね愛書家でコレクターなのだろうか。日本人がいくらお金を持っているからといってパリへ出かけ古書のオークションに加わるというのは相当の覚悟がいると思われるが、著者は何度か決断して古書を入手している。
著者のコレクター魂が横溢する抱腹絶倒の古書(メインはパリの古書店)をめぐるエッセイ集である。
内容はもちろんだが、文章がこれこそ「すてき」というべきで巧みである。たとえば、これ。
「パリの古書店に猫の時間が流れる」(p82)
他の者には書けない説得力と含味のある文章をこの著者はこともなげに書いているように見える。
後半の、蒐集した挿絵本を20冊ほど紹介する「こんな本も買いました」部分は挿絵付きで眼福を感じる。


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