山中雨に行き暮れてとある山家に一夜の宿りを求めたところ快く軒下を貸してもらうことになったが夢を結ぶまでに囲炉裏で濡れた衣を乾かしながら主人と世間話をしたが亭主はノートパソコンでインターネットをたしなむ当世風の趣味人であった。旅に当たっての心残りはエンピツに作成しているこの日記が消滅することだった。出発以来すでに一月がたつ今もう「白月亭通信別記」の名は消えているものと覚悟していたが主人のパソコンによるとまだこの日記は残っていた。そして日記のためにわかに帰心が募ったが一方ではまだ旅心も定まっていないのでしばらく放浪を続けることにした。(H山中にて)
|