井ノ本的
 written by 井ノ本R
 
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2003年09月21日(日) 結局見てしまった「11'09''01/セプテンバー11」

イの元です(誤変換)

見ようかどうしようか迷って結局見に行かなかった「11'09''01/セプテンバー11」がビデオになっていたのでつい借りてしまいました。
もっと後になってから見ようかと思っていたのについ。

「11'09''01/セプテンバー11」は01年9月11日をテーマに11人の映画監督が11分9秒1フレームの短編映画を撮るという形式のオムニバス映画です。
ケン・ローチやアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥやショーン・ペンといったわたしの好きな映画を撮った監督さんが名を連ねているので単純に興味はあったのですがいかんせんテーマがテーマなので二の足を踏みました。
そりゃもう踏みました。
見たあとたぶんまたどうしたらいいかわからなくなるんだろうなあと思ったので。

わたしは当事者ではありませんがやっぱり9月11日にテレビを見たときのことをいやというほどおぼえていますし、
テレビの電源を消したいような消してはいけないような消したくないような気分になったこともおぼえていますし、
戦争になっちゃうのかなあとか不安なくせに他人事みたいにぼんやり思ったこともおぼえています。
無責任なことも考えましたし小市民らしくうろたえましたし。
なんていったらいいんでしょうか、事件のことをどう考えたらいいのかとかどう受け止めたらいいのかとか結局わからずじまいだったんですね。
わかっているひとなんていやしないとは思いますが。

でも見ちゃったんですが。

見てよかったとは思います。
11人の監督全員がそのひとなりの視点でそれぞれよい映画を撮っています。
でもなんというか治りかかっている傷に塩を塗るような感じがして。
ずるいなあとは思いますなんにもしないでテレビ見て不安がってただけのくせしてそんなこと言うのは。
でもそう思ってしまうのはどうしようもなく。
それぞれの話が当事者(すなわちNYで犠牲になったひと)のことを必ずしも描いてはいないからかもしれませんが。
ボスニア戦争で男たちを失った女性たちが誰もいない広場で黙々とデモをする話(ダニス・タノヴィッチ…ボスニア・ヘルツェゴビナ)とか、
ロンドン亡命中のチリ人男性の話(ケン・ローチ…イギリス)とか、
イランに亡命したアフガンの子供たちに先生が事件のことを話すのに子供たちがまったくそれを理解していない話(サミラ・マフマルバフ…イラン)とか。
NYの住民であっても妻を亡くし孤独にひっそり生きている老人(ショーン・ペン…アメリカ)とか。
みんなそれぞれ大変で必死でつらいということはわかるんですど。
なんかこう自分がたまたま平和な場所にいることに対する居心地の悪さとかでもそれってやっぱり自分を安全圏においた無責任な考えだな、とか、余計にいろいろいろいろ考えてしまっていかんのです。
いかんのかどうかはわかりませんが。
なんかまた混乱してしまっていかんとです。
いかんのかどうかはわかりませんが。

でも、また何年かしたらもう一度見るとは思いますが。


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「11'09''01/セプテンバー11」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0000A5B3P/250-4266369-1358615

意味はさておき映画として見るとクロード・ルルーシュ(フランス)とショーン・ペンとケン・ローチ、あとイドリッサ・ウェドラオゴ(ブルキナファソ)の作品がすばらしかったです。
ショーン・ペンの話はなんかもういたたまれないくらいよかった。

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