気まぐれ日記
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井上編。さっさと終わらせたいのにもかかわらず、こんなのだけ……。今日はキノの旅のゲームが出たのでそれをやります。良心的な値段だ。世界観を楽しむためのゲームも良いですね。まだやってないけど。
「すいません、夏目さん。あんな妻でして」 井上は謝りながら運転していた。 「……」 夏目は少し複雑だった。 「……まあ、いいんじゃない?」 元に戻ることなくそのままの夏目は彼よりまだ温和だった。そして、ややおっとりとしている。 「トーマ様、お薬忘れたんですね」 「最近、本当に間隔が短いんだ。効かなくなったのかもな」 「あの先生のところに相談したらどうですか?」 「ああ、そうだな」 しばらく黙っていた。そのうち車は市街地から離れたところに工場と一緒になったビルがある。 「ここです、夏目さん。僕の会社です」 車を指定駐車場に入れ、夏目とセリナは中へ案内された。応接間はテーブルとソファー、テーブルには野で積んだものとされる花がコップに生けてあった。 「ここで、ちょっと待っててください。上司を呼んできます」 しばらくして、井上の上司が現れた。中年のキャリアウーマン……そのままのイメージであった。スリムにスーツを着こなしている。 「はじめまして、夏目さん。私はこういうものです」 名刺を渡された。「営業部部長 山田敬子」と書かれてある。見た目より、声にやさしい雰囲気があった。 「セリナのことは井上から聞きました。夏目さん、貴方の感想をまだ聞いてなかったですね、最初にセリナが貴方をマスターと認めてどう思いました?」 「びっくりしたよ。ドールだからね。なんでって思った」 「井上さん、確かあの時、貴方を怖がっていたと言ってましたね。今は……」 「俺が一緒でなくても怖がりません。それどころか、誰が来ても対応してくれます」 「そうですか。……貴方のことは、井上から全部聞いてます」 「はい?」 「その体のことも。大変なようですね。でも私たちに協力願いますか? セリナはドールの新しい可能性を秘めています。それが、今の時代にどう影響されるか、私は知りたいの。ドールが主人を選ぶ、そして主人に従う。そして、セリナのように時には叱る。人間の恋人のように、ね」 「……わかりました。協力します。でも、具体的に何をすればいいのか」 「ええ、貴方のこと、セリナのことを教えてくださればいいのです。今までどおりで」 「でも、俺は、恋人なら、人間同士の方がいいと思いますけど」 「そうね、私も思うわ。でも、世の中には、貴方のような……人間の恋人が持てない人も多いのよ」 敬子は、きっぱりといった。そして、井上を呼んでセリナのメンテナンスをするように、言った。
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