気まぐれ日記
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草は酒飲みなのに、酒の飲める(または飲まない)友人が多いです。また、怪談がすきなのですが、それがきらいな友人の方が多いです。むむう。そんなことは、どうでもいいんですが。いや、テレビで怖い話やってたから。
「そういうわけだ、尾崎」 森が検診を終えて、社長室に向かう。夏目は黙って後をついた。森を見て夏目を見、秘書にお茶を入れさせる。 「ふうん、なるほどね。あの女が?」 「そう、私の患者だ。そこまで調べなかったのか?」 「いや、森のとこはガード固いからね、調べ切れなかった」 夏目を夏目と気づかないらしく尾崎は無視して話しをする。 「お前が何をやったのか知らんが……薬物は使うな。お前の部下にも言ったが、あの患者はややこしい薬飲んでいるんだ」 「わかったよ」 「で、何かわかったのか?」 「何が?」 「ドールがどうのこうのって」 「ああ、なんでお前に話さなきゃならん?」 「こっちの不始末を話したんだ。お互い様だ。彼女に相当酷いことしたんだろ。法的には、拉致監禁の婦女暴行……」 「法的にはね。まあ、まだあのドールに関しては手付かずだよ。なにしろ、起動は停止だからね。プログラムも傷一つ、穴一つない。なんとしてもあの女の口を割らせることだ」 「へえ、見たいね。そのドール」 「お前、急用じゃないのか?」 「彼がせっかく伝えてくれたんだがね、どうやら手遅れらしい。病院からも連絡が入った」 「そうか」 夏目が内心、殺すなよと思いながら出されたお茶をすすった。 「まあ、見たいなら案内するよ。かわいいドールだよ。製作者の趣味かな」 地下一階が工場となっている。そこの一室にセリナは安置されている。尾崎の言うとおり、台に乗せられているだけで何もされてないようだった。夏目がそれを見て安心する。 「き、菊池君。なんて格好してるんだい」 尾崎がドアを閉めようとしたとき、シャツとパンツ姿の菊池が恥ずかしそうに現れた。 「夏目さん、酷いじゃありませんか!」 森が意外そうに見て、 「夏目君、がやったの?」 と聞く。 「うん、まあ。あの服、女物だから」 「な、じゃあ君はあの女……そうか、森、お前もグルか」 「まあね、こんな面白いことに勝手に患者を使われちゃあね」 「でも、まあ都合がいい。ドールを……」 「セリナ、再起動」 尾崎が言う前に夏目は言った。 「セリナ、俺のことはかまうな。逃げてくれ」 「だめです。トーマ様、こっち、こっちに何か……」 起き上がったセリナは壁をまさぐって何かのスイッチに触れた。隠しスイッチだった。セリナはためらいなく押した。壁が開き、エレベータが現れる。 「まるで、昔のスパイ映画みたいだな、尾崎」 「むむ。しょうがない、夏目さんの処罰は後にして……」 「あんたから処罰を受ける筋合いはない」 「君はもう、不法侵入を……」 「俺はこの人に案内されてきたんだ。ドールの小型カメラで十分証拠は撮れている、さ、セリナ行こう。気になるんだろ」 「はい、トーマ様」 「ストップ。ここからは僕も行ったことがないんだ」 「はあ、あんたここの社長だろ?」 「いったでしょ、夏目君。彼はここのばか社長だって」 「ああ、そうか」 森に言われ夏目は妙に納得する。それを見て尾崎は怒り出したが。とにかく、そのエレベータに乗ろうとすると、今度は菊池が止める。 「そこから、先は行くな。恐ろしいことになるぞ……」
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