気まぐれ日記
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そろえてしまうのが草の宿命。図書券がなかったらやってなかったと思います。これ、皆、あの黒猫のせいです。
「セリナ、セリナ!」 「どうしたんですか、トーマ様」 「妖精が、妖精が生まれてた!」 「見たのですか、トーマ様」 セリナがにっこりと笑った。 「それはとてもいいことがある前兆なのですよ、トーマ様」 「そういえば、その妖精もそういうこと言っていた」 「さ、夕飯にしましょ」 セリナは夕飯を作っていた。それもめったにない豪勢なものだった。 「どうしたんだ、セリナ」 「だって、今日は……」 「なんで俺の誕生日知ってるの?」 「はい、もちろんです。井上さんにインプットしていただきました」 さ、食べてくださいと取り皿に盛ってゆく。 「ありがとう、セリナ」 「どういたしまして。トーマ様、何かいいことありました?」 「なんで?」 「だって、とってもいい表情をしていらっしゃるので」 「いいことっていうか、なんか心配じゃなくなったんだよ。時間が戻ろうがなんだろうが、皆そばにいてくれるだろうから」 「トーマ様……」 その夜は、とても気持ちよくすごせた。女王のことなどすっかり忘れていた。しかし、夢にはちゃんと出てきた。 「十真さん、でしたね。始めまして」 「始めまして」 女王、であろうが声のみだった。鈴の音ような軽やかな声だった。 「セリナを受け入れてくれてありがとう。そして、時間の逆行を受け入れようとしてくれている」 「その時間の逆行なんだけど、どうなるわけ?」 「それはね、貴方しだいなのです」 「俺しだい?」 「そう、あなただけでなく、地球のすべてのものしだいなのですよ。だから、あなたは堂々と構えていればいいのです」 「なるように、なるのか……」 「ええ、でも大丈夫、きっと……」 女王の声が途切れ途切れになり、消える。夏目は目を覚ました。まだ暗い。セリナも充電中で寝ている。あと一週間もしないうちに何かが起きる。でも、不思議と眠ることができた。
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