気まぐれ日記
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2003年09月04日(木) 黒猫!

 そろえてしまうのが草の宿命。図書券がなかったらやってなかったと思います。これ、皆、あの黒猫のせいです。

 「セリナ、セリナ!」
 「どうしたんですか、トーマ様」
 「妖精が、妖精が生まれてた!」
 「見たのですか、トーマ様」
 セリナがにっこりと笑った。
 「それはとてもいいことがある前兆なのですよ、トーマ様」
 「そういえば、その妖精もそういうこと言っていた」
 「さ、夕飯にしましょ」
 セリナは夕飯を作っていた。それもめったにない豪勢なものだった。
 「どうしたんだ、セリナ」
 「だって、今日は……」
 「なんで俺の誕生日知ってるの?」
 「はい、もちろんです。井上さんにインプットしていただきました」
 さ、食べてくださいと取り皿に盛ってゆく。
 「ありがとう、セリナ」
 「どういたしまして。トーマ様、何かいいことありました?」
 「なんで?」
 「だって、とってもいい表情をしていらっしゃるので」
 「いいことっていうか、なんか心配じゃなくなったんだよ。時間が戻ろうがなんだろうが、皆そばにいてくれるだろうから」
 「トーマ様……」
 その夜は、とても気持ちよくすごせた。女王のことなどすっかり忘れていた。しかし、夢にはちゃんと出てきた。
 「十真さん、でしたね。始めまして」
 「始めまして」
 女王、であろうが声のみだった。鈴の音ような軽やかな声だった。
 「セリナを受け入れてくれてありがとう。そして、時間の逆行を受け入れようとしてくれている」
 「その時間の逆行なんだけど、どうなるわけ?」
 「それはね、貴方しだいなのです」
 「俺しだい?」
 「そう、あなただけでなく、地球のすべてのものしだいなのですよ。だから、あなたは堂々と構えていればいいのです」
 「なるように、なるのか……」
 「ええ、でも大丈夫、きっと……」
 女王の声が途切れ途切れになり、消える。夏目は目を覚ました。まだ暗い。セリナも充電中で寝ている。あと一週間もしないうちに何かが起きる。でも、不思議と眠ることができた。


草うららか |MAIL

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