気まぐれ日記
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2003年09月11日(木) ウォンテッダー

 その昔書いた小説の続編。キャラ日記でおなじみなやつらが出てきます。気長に楽しんでください。細かなところも書きたいと思うので。

 そこは広い執務室で、ろうそくのような頼りない光が頼りな部屋だった。
 ルイファーナは正直「むかつく」状態だった。口を開けば、そう発するだろう。
 「あんたの言い分はわからないでもない。しかしそういうわけにもいかない。われわれにはわれわれの役目がある」
 「総統、それでも私は……」
 「もういい、下がれ。私が抑えられているうちに」
 「失礼します」
 彼女が心底腹が立っているのをわかったのか、男は立ち去った。それを確かめてしばらくすると、彼女は叫んだ。
 「っんとにむかつく! あの大バカ野郎!」
 その声を聞いて彼女の侍女が駆けつけた。
 「ど、どうしたんですか?」
 「あ、ごめん。全くもう、こっちの身にもなってくれよって言いたくなるね」
 「例のことですか?」
 「ああ、そうだ」
 もう一人、こっちに向かってかけてくる者がいた。
 「おばあちゃん、どうしたの?」
 「どうもしないよ」
 彼女の孫のリュレイミアだった。彼女は少し前まで人間界に行っていたが
ひょっこりと帰ってきて、今は元いた祖母の前にいる。ルイファーナは彼女の祖母だった。祖母と言ってもその姿形は人間齢ではまだ小さな子供しかいないような若さである。
 「ちょっと、夫婦喧嘩よ」
 「おじいちゃんと? おばあちゃんも若いわね」
 「なんとでも言って」
 「で、おじいちゃんなんだって?」
 「お前を天界に即位させろって。私はここ地獄の総統として継がせたいんだけどね」
 「……またその話でもめたのね」
 「しょうがないさ、ここはいつもそうなんだ。もめずにすんだことはないって。さ、ご飯にしよ」
 「うん……」
 リュレイミアは祖母と昼食をとりながら考えた。もう一度ここを出よう。私抜きで、おばあちゃんたちでこの場を収めよう。
 彼女にはもう、どうでもよいことだった。どう出ようと、彼女はどちらかにしかならない。自分が帰ってきてからと言うもの、千とんで三回目の夫婦喧嘩だった。
 今日、ここを発とう。


草うららか |MAIL

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