気まぐれ日記
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やっと、始まりです。
うっそうと茂った、多分森の中と思われるところに、三人は急に現れた。 「ここはどこなんだ?」 Tシャツによれよれのジーパン、腰には大剣を指している中年間近の男はぼんやりと言った。 「さあ」 フードを目深にかぶった子供が返す。 「適当に飛んだから……」 十七、八歳くらいの少女が言葉を詰まらせた。 瞬間移動。どうやらルイには使いこなせていないらしい。 「ルイ……。説明してもらおうか?」 中年間近の男、バルクはルイを見る。 「それよりも、先に村か街か探さなくては。日が暮れたらやっかいだ」 それを制したのは子供らしいアニムだった。もっともその言葉遣いは年寄りのようだったが。彼の言うことももっともなのでバルクはルイに、空から街か村を探すように言った。 「わかったわ。結局はあたしが悪いんだし」 飛ぶのは苦手なのなどいいながらもルイは羽を広げ、空に向かった。 「アニム、荷物もってきてるか?」 ルイに探させている間、バルクは聞いた。 「むろん」 「俺は宿に置いてきちまった」 荷物と言うほどのものは入ってないが、非常食、何枚かの着替え、水筒など必需品が入っている。一通り購入するにはそれなりの金がかかる。 「だから?」 「金貸してくれ」 「おぬしは、何故あの剣がなくなったというのに、小生にたかる!」 「しゃーねーだろ、荷物置いてきちまったんだしよ!」 「バルクー! あったよー!」 ルイが慎重すぎるほどゆっくりと降りてきた。 「小さな村があるよ。結構歩くかもしれないけど」 「ルイ、すまんが上から案内してくれぬか? 小生らが迷わんように」 「うん」 ルイが再び浮き上がる。そして、こっちよと指をさす方へ二人は歩き始めた。
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