気まぐれ日記
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2003年09月17日(水) いよいよ本番です

 やっと、始まりです。

 うっそうと茂った、多分森の中と思われるところに、三人は急に現れた。
 「ここはどこなんだ?」
 Tシャツによれよれのジーパン、腰には大剣を指している中年間近の男はぼんやりと言った。
 「さあ」
 フードを目深にかぶった子供が返す。
 「適当に飛んだから……」
 十七、八歳くらいの少女が言葉を詰まらせた。
 瞬間移動。どうやらルイには使いこなせていないらしい。
 「ルイ……。説明してもらおうか?」
 中年間近の男、バルクはルイを見る。
 「それよりも、先に村か街か探さなくては。日が暮れたらやっかいだ」
 それを制したのは子供らしいアニムだった。もっともその言葉遣いは年寄りのようだったが。彼の言うことももっともなのでバルクはルイに、空から街か村を探すように言った。
 「わかったわ。結局はあたしが悪いんだし」
 飛ぶのは苦手なのなどいいながらもルイは羽を広げ、空に向かった。
 「アニム、荷物もってきてるか?」
 ルイに探させている間、バルクは聞いた。
 「むろん」
 「俺は宿に置いてきちまった」
 荷物と言うほどのものは入ってないが、非常食、何枚かの着替え、水筒など必需品が入っている。一通り購入するにはそれなりの金がかかる。
 「だから?」
 「金貸してくれ」
 「おぬしは、何故あの剣がなくなったというのに、小生にたかる!」
 「しゃーねーだろ、荷物置いてきちまったんだしよ!」
 「バルクー! あったよー!」
 ルイが慎重すぎるほどゆっくりと降りてきた。 
 「小さな村があるよ。結構歩くかもしれないけど」
 「ルイ、すまんが上から案内してくれぬか? 小生らが迷わんように」
 「うん」
 ルイが再び浮き上がる。そして、こっちよと指をさす方へ二人は歩き始めた。


草うららか |MAIL

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