気まぐれ日記
DiaryINDEXpastwill


2003年09月18日(木) さて、いきますか

 ちゃっちゃっとね。

 ルイに案内されて、夕暮れ前にその村に着いた。そこは小さな村で宿もない、という。村人は、あそこなら泊めてくれると親切に言った。まれに来る旅人のために解放している施設があるそうだ。
 「なんだよ、ここ」
 バルクがあきれたような声で言った。
 そこは、馬小屋を改造してベッドを置いたような場所だった。
 「ベッドがある分、感謝しなくてはの、バルク」
 アニムは満足そうにベッドに腰掛けた。
 「ごめんね、あたし、慌ててたから」
 「今更、言っても始まらないな、ルイ。止まれる場所があっただけでもな」
 そこに一人の初老の女が入ってきた。
 「お食事ができましたよ、三人とも」
 「はあ、夕飯?」
 誰も頼んだ覚えはなかったが、それがこのおばさんの行為と聞くと三人は勇んでついていった。
 「なんにもない村ですまないね。たまに来る旅人にはこうやって食事を提供しているんだよ:
 「ありがたいの、でも、何故無償で?」
 「あたしはね、一人だから寂しいんだよ。きにせずにお食べ」
 聞くと、このおばさんは夫にも死に別れ子供は独立したために、村でただ一人、一人暮らしをしているという。そして、馬小屋を改良して旅人に開放しているのもこのおばさんだった。


草うららか |MAIL

My追加