気まぐれ日記
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時間たつの早いですね。いろいろやりたいことがあったのに……(泣)
翌朝、やはり村人は消えている。 「相手は幽霊じゃないとすると、私も手は出せませんからね。問題を起こしている魔族をどうかしないと」 「でも、そんなの現れなかったじゃない? 第一魔族とは限んないわ」 ルイはもっともなことを言う。 「それも然りだ、ルイ。まずはこの周辺にある村か町で聞いてみよう。そういうわけだ、ルイ見てきてくれぬか?」 アニムが言う。 「わかったわ」 ルイは消えていた羽を広げる。その姿にカルミアが驚いた。 「あなた、悪魔だったのね」 「隠してたわけじゃないけどね」 ふわっと飛び上がり、空高くから周りを見る。一昨日来た方向にはやはり何もない。しかし、この先に町がある。結構大きな町だった。 「あっちにあるわ」 「ああ、そこから私は来たんです。一番近い町ですから」 「どれくらいかかる?」 「半日は歩きますね」 「では、行こうか」 アニムはすでに旅支度を終えている。バルクもだった。 「ちょっと、待ってください」 「なんだ?」 「私はまだ準備が……」 カルミアとルイは急いで旅準備をした。ついでに台所を借りて歩きながら食べられる朝食と、簡単な昼食を作った。 ルイが示す方向と、カルミアが来た方向を確かめ村を出る。 「歩きながらでもいいんですが、自己紹介してくれますか?」 「? なんで?」 カルミアの申し出にルイが理由を聞いた。 「どう見ても、不思議な組み合わせで。そして、あなたは悪魔でしょ? どうして、こんなパーティになったのかしらって」 「確かに、不思議だろうな。俺みたいなおじさんと、子供に年頃の女の子だもんな」 バルクが言った。自分をおじさんと言うあたり歳を食っているのを認めているようだ。 「はあ、あなただけは年齢相応のようだけど……」 アニムの方を見る。子供なのに爺くさい言葉を使うのだ、無理もないだろうとバルクは思う。 「そいつはエルフだ。そんななりでも六十超えてるんだとよ」 「えっ、男の子のエルフ?」 エルフの男は、希少なエルフ種族の中でも百人に一人生まれるか生まれないかというくらい希少な存在であり、アニムはその希少高い男のエルフだった。 「それでは、あなたは里から出られないはずでは?」 「その話は、また今度しよう。今はあまり話す気になれんから」 カルミアは、その言葉で十分理解できた。男のエルフは人買いによって破格の値で取引されることを知っていたからだった。多分、このエルフもそんな人間たちのごたごたにあった、と。
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