気まぐれ日記
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2003年10月31日(金) ああ、眠い

 ので、さっさと行きますか。

 「のう、バルク。お気をつけてとはどうゆう意味だ?」
 「そのまんまの意味だ」
 アニムの問いにバルクは簡単に答えた。
 「そうか……」
 わけのわからないドアの数字を眺めながらアニムの不安は募っていった。
 「ねえ、バルク。このドア……」
 「ああ、客間だ。ドアの数字は気にすんな。なにしろ大昔の城だからな、よくわからん」
 「そう……」
 バルクは大きなドアの前で立ち止まった。
 「ここから兄貴の部屋だ。国王だからって遠慮するこたあない」
 しかし、とバルクは続ける。
 「手加減はすんな」
 ドアノブに手をかける。
 「誰だ? ノックもなしに」
 「おう、兄貴、久しぶり」
 「……」
 兄貴と呼ばれたバルクの兄は、剣を抜いた。バルクがすかさず剣を抜き、その剣で国王の剣を受け止めた。
 「よう、ヒーガル。久しいな。子供に女の子連れでさらに獣人まで連れて、一体なんだ?」
 「早とちりだよな、兄貴は。里帰りした弟を剣で迎えるとはな」
 国王の剣が離れた。
 「では、聞こうではないか。ここに来た理由を」
 国王が言った。ルイがうれしそうに答える。
 「おいしいチョコレートがあるってきいたから」
 「兄貴、紹介するぜ。俺の今の旅仲間さ」
 ややあっけにとられた国王だったが、少し考えて首を振った。
 「どうやら誤解があったようだ。後でお前の仲間のことを紹介してくれ。今、少しばかり大変なことがあってな……」
 国王は少し歩いて、隣の部屋に案内した。そこは、彼の妻、つまり王妃の部屋だと言うことをバルクは知っていた。
 「ポーレンになにかあったのか?」
 「ああ、あった。しかしな……」
 ドアを開けると、少し体調の悪そうな王妃がベッドに横たわっていた。しかし、元気そうだ。
 「あら、ヒーガル。何年ぶりかしら?」
 「久しぶりだな、ポーレン。ちょっとやつれてるようだが……」
 「わたしったら、丸二日寝ていたみたいなの」
 「丸二日? その身体でか?」
 部屋の入り口付近にいたルイがアニムをつついた。
 「もしかして、あの王妃様のおなか、赤ちゃんがいる?」
 「ああ、いるのう」
 「んなの、珍しくないだろ」
 と、レト。だいぶ元気になったらしい。
 「人間のは珍しいわよ。すごいよね、おなかで育てちゃうんだから」
 「……悪魔はどうやって生まれるのだ?」
 「みんな、ばらばらだよ。木の股から生まれた悪魔もいるし」
 「……それなら、人間のは珍しいだろうなあ」
 アニムが納得したように言う。
 「で、どこが問題なんだ?」
 丸二日眠っていたことは異常だが、目覚めたのだし、どうやら命には問題ないようだ。しかし、問題があると国王は最初に言っている。
 「それがな、今度はポーレンを眠りから覚ました魔法使いとやらが、眠ってしまったんだ」
 

 
 


草うららか |MAIL

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