| 2001年11月10日(土) |
『月の砂漠をさばさばと』 |
本日の一作: ・『月の砂漠をさばさばと』(北村薫・文&おーなり由子・絵/新潮社)
珍しく母親と2人で出かける。 自他ともに認めるファザコン娘の私にしては珍しいことである。 母親が運転する車の中で、この本を読んでいた。
子供のための絵本と呼ぶには少々高度なのかもしれない。 なんと言っても、北村薫氏は言葉に関しては二重のプロなのだから。 一つは作家、もう一つは国語教師。 初めて『スキップ』を読んだ時、真剣に彼の授業を受けたいと思った。 生徒としてではなく、同じく国語教師を目指す者として。 彼の言葉に対する過剰なまでの反応を私は尊敬する。 言葉は話せればいいというものではない。 当人の人格を形成する発言は、裏打ちされる知識を伴ってこそ価値がある。
この本の中には、お母さんとさきちゃんの仲良しコンビが登場する。 作家のお母さんの創り出す物語を聞かされて育ったさきちゃんは、 ちょっとした契機でも空想の世界へふわふわと泳いでいく。 もちろん、子供だからってことも関係するのだろうけれど、
「月のー砂漠を さーばさばと さーばのーみそ煮が ゆーきました」
お母さんの歌うなんだかふざけた歌詞(しかも音痴)を耳にして、
「広ーい広い砂漠を、さばのみそ煮がとことこ行くのって、 とっても、かわいいじゃない」
なんて、気の利いた答えをポンと出してしまうさきちゃんはただ者ではない。 そこで、時にはお母さんのほうがさきちゃんの言動から学ぶこともあったりして、 まさに理想の母子関係・・・こういう関係を築けた親子は幸せである。 私はといえば、両親が共働きであったため、もっぱら祖母がこの役を務めていた。 たくさんの話を聞いたはずなのに、もう半分ほどしか覚えていないけれど、 祖母との時間がすごーく楽しかったことはしっかりと覚えている。 そう・・・私は幸せな子供だったのだ、ある意味では。
|