ヤグネットの毎日
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2002年09月18日(水) やるせない

 日朝首脳会談のなかで、拉致の事実を北朝鮮が認め、死亡8人生存者5人というショッキングな報道を聞いたのは、夕方のことだった。そのニュースを確認して、暗澹たる思いを引きずったまま、息子を保育園に迎えにいった。「公園でキックスケートをしたい」ときかないので、すでに薄暗くなっていたけれど、公園へと向かう。
 空を見上げると、月のまわりを薄い雲がゆらゆらと戯れるようにかかっていた。
 ある日、忽然として姿を消す。あまつさえ、国家による犯罪に巻き込まれて尊い命を失うとは。楽しそうに、キックスケートで遊ぶ息子が、僕が目を離したすきに拉致され、海を渡り、命を失うことになったら…。いたたまれない。
 帰国を果たせなかった人たち、そしてその家族の心中を思うと、やるせない。怒りと悲しみで、月がさらに霞んで見えた。被害者とご家族に心から哀悼の意を表したい。

 誰が何のために拉致を指示し実行したのか。その責任者の厳正な処罰を徹底して行うべきだ。被害者とその家族への全面的な補償が不可欠なのは、いうまでもない。

 かつて日本の軍国主義政府は、国家の名において朝鮮の人びとを強制的に連行し労働を強要し、命を奪うことさえ行ってきた。北朝鮮の拉致も国家権力によって実行された犯罪だ。無辜の命が奪われたことでは共通する。国家とは何だろう、権力とは何だろう。地方レベルで権力の行使をチェックする立場にある僕自身、深く考えさせられる。真に自立した国民による、社会をコントロールする力の蓄積こそ、国家権力の暴走を防ぎ、国家間の協調関係をつくるあげる土台となるべきものだろう。
 
 徹底して拉致問題の解明をすすめ、その他の懸案事項も話し合いによって解決するうえで、国交正常化にむけて合意がかわされたことは貴重な第一歩だと思う。

 いま読んでいる松岡圭祐さんの「千里眼 メフィストの逆襲」では、まさに北朝鮮による拉致問題がモチーフとなっている。あまりのリアルさに驚きながら読みすすめている。



 


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