Mother (介護日記)
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この2,3日、またセキが出るようになった。
夜中や朝方、苦しいほどに発作的にセキが出る。 母はセキが続いても、それを止める方法を思いつかない。
激しく続くと寝ている私も目を覚まし、 枕元の水筒に用意してあるお茶をあげたり、飴をあげたりする。 こうするとすぐに治まるのだけど、何度教えても、その方法にたどり着かない。
あいかわらず、電動ベッドを使いこなせない。
母はすでに自発的な行動が減っていて、自分から動くのはトイレぐらいである。
言わなければ起きないし、着替えないし、顔を洗わない。 食べた後の食器を片付けに来ないことも多くなった。 食べ終わるといつのまにかベッドに寝転んでウトウトしていたりする。 昨日は、私とレフティーが部屋の掃除に夢中になっている間、ずっと昼寝をしていた。
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家事のうちで母ができることをひとつづつカードに書き出し、 私が仕事に行っている間に、それを見ながらできるようにと考えていたものの、 カードを「これからやる仕事」の箱の中から出して作業し、 終わったら「終わった仕事」の箱の中に入れるというのは、 母にとってはそれも難しかった。
私が退職したからといって、すべての家事を私がやれば良いと言うものではなく、 体調を見ながら簡単な家事は手伝ってもらった方が身体にも頭にも良いので、 私がカードを1枚づつ差し出して、それをやってもらうことにした。 「食器洗い」 「金魚の水替え」 「お米研ぎ」 「洗濯物をたたむ」 カードは目で見て確認できるので、何度もやりとりしてイライラすることはない。
さらには 「買い物に行きます。 お化粧をして、ウエストポーチを用意しましょう。」 「スパに行きます。 タオルと、靴下と・・・・」 というカードも作ってみた。
先日バーベキューに出かけた時には、 初対面の人と知らない場所に連れていかれるという不安を取り除く為に、 前日までに、ホワイトボードや日記にメンバーや場所についての予定を書いておき、 当日は「○○公園にバーベキューに行きます」と書いた札を首からかけておいた。
まるで幼稚園生だ。 見方によっては「ふざけている」のかも知れない。 しかし、どこに何をしに行くのか、この人たちは誰なのか、は重要な情報であり、 口で言っても3分で忘れてしまうようでは「ここはどこ?」になり兼ねない。
実際、バーベキューに行く途中、 「これからどこに行くんだっけ?」と何度聞いても、 「これから? え〜? どこ行くんだろう? 知らない」と言うのだった。 その度に「ほら、ここに書いてあるでしょ?」と札を見せて確認させていた。
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私はあいかわらず、母の日記のゴーストライターをつとめて、 今日の出来事をチラシに書き出し、母が日記に書き写している。 それを、やることがない時に何度も声を出して読むようにしている。
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