〓月夜の日記〓(つぶやき版)
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小学生のとき、 うさぎを飼っていた。
きっかけが、思い出せないけれど、 ちょうど3年生のときだった。
うさぎは、ベージュで、とってもかわいくて。黒いまんまるの目がかわいらしく
私は大好きで、 たまに 芝生に散歩に連れて行ってみたら、
ピョンピョンと なかなか 捕まえられなくなるために
その後は やめてしまった。
うさぎは、
小さい すのこの小屋に 住むことになった。
多分、父親の手作りだったかな・・・ それすら思い出せない。
さみしげで、いつも遠くを見ているようだったうさぎ。
ベランダの 台の上におかれた うさぎの小屋から、
いつも 遠くを見ていた。
おとなしく、だまってたっけ。
ある日、
なんだか、 泣いているように見えて、
様子がおかしいような気がして 小屋を覗き込んだあたしは
あまりの出来事に びっくりしたのだった。
「おかあさん!!!!! うさぎの足が! 折れてとれてる!!!!」
ウサギ小屋のすのこに、足が挟まったみたいだった。
左前足が、 取れていた。
剥き出しになって、 血が滲む前足・・・
ポトッと 静かに 置いてあるように 取れた足が 転がってた。
あああーーーー!!!
私は 泣きそうになった。 こわくて。
かわいそうで。
ふんが、下にたまるように、小屋にすのこが敷いてあって、
その隙間に足が挟まって、痛くて暴れたんだろう。
かわいそうなことをした・・・・
どんどん 体が大きくなって、うさぎは 小さい小屋ではきっと
狭苦しくて、それだけでも いやだったに違いない。
すぐに 小屋からだして、 消毒をして、包帯を巻いて、
毎日それを 繰り返した。
しばらくしたら、うさぎは 3本足で、 自由に動き回るようになった。
芝生に連れて行っても、 相変わらず逃げられそうになるくらいだった。
だけど、 狭い小屋の生活・・・
夏休みになって、
母親が言い出した。
「うさぎが、このままだと かわいそうだから、田舎に行くときに
ついでに 連れて行って、広いところに 放してあげようか?」
「うん!そうだね」 あたしは うさぎがこのままでは かわいそうだと
ずっと思っていたので、 即 返事をしたっけ。
車で 夏、仙台の田舎に帰った。
そのときに、 うさぎも一緒に乗せていった。
仙台について、 うさぎも 下ろして、 おばちゃんちで
しゃべっているときだった。
うさぎのことはもう 言ってあったので
玄関先かなんかに うさぎを小屋のまま 置いて
「誰か、欲しいって言ってくれる人がいるといいね」なんて言ってたんだけど。
そしたら、
本当に すぐに 現れた。
誰もいなかったら、当時野っぱらが いっぱいあったから、
人の気配のない山にでも 放そうとしてたんだけど。。。。
「うさぎ 3本足だから、かわいがってくれる人じゃないとね」
って心配だった。
貰いに来てくれたのは、 近所のおうちの子だったみたい。
かわいいし、ちゃんと飼ってもいいって、いうことになったみたいで。
あたしは、 さよならのとき、 そこに行かなかった。
「なんだって? 貰ってくれるって?」 って言いながら
部屋から出なかった。 なんとなく、 出られなかった。
そのまま、 うさぎと別れてしまった。
夏休みが終わり
学校で作文を書いた。
「うさぎをあげちゃったこと」
その作文は 小学校4年になったとき、担任がうちのクラスだけ変わって
新任する先生が
『このクラスのことは、いろいろ勉強して、知っていますよ。 作文も、「うさぎをあげちゃったこと」とかね』
そんなふうに 言ってくれたんだ。
名まえも思い出せない うさぎをあげてしまったこと・・・・
あの、うさぎの 悲しそうな 遠い目を 思い出すんだ。たまに。
だから、きっと、 あげて幸せになったんだろうな!って 思ってる。
自然いっぱいの、広々としたおうちで、 伸び伸び暮らしただろうなって
そう 思ってるんだ。
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