午前中水を撒く あつさを少しでもやわらげようと思っての事だ コンクリートの面は ほうきではきながらねんいりにまく 立ち木は葉の一枚一枚 土はひととおり色が変わるぐらいに まいた。 風が変わるのが解かる トンボが数匹飛んでいる 水の気配に誘われてかコンクリートの水に ちょんちょんと産卵をはじめた 傍らにとめてある車のフロントガラスもお構いなし ちょんちょんとまきちらす 彼らに豊かな立派な池を作る力がないのはわかるが 遠くまで飛べる羽があるではないか 出来の悪い水槽に産み落とされたものはラッキーである 少しでもトンボになる可能性があるからね トンボは種の保存を真剣に考え池に類するもの全てに 果敢にチャレンジしているのだろうか 気の遠くなるような時間をかけガラス生まれコンクリート 育ちのトンボを夢みてるのだろうか 空を飛んだり水の中に住んだりそんな彼らのことだから あるいは難なくやり遂げてしまうかもしれない 無駄な事など何も無いと証明してしまうかもしれない それとも徒労に終わるのか 少し前まではメダカにカエル蛍などが身近に住んでいた 今ではほんとに見かけなくなった からすにスズメバチ トンボ 彼らも何時かどこかに消えてしまうのだろうか
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