日記でもなく、手紙でもなく
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2001年10月20日(土) 映画・雨あがる

 深夜のニュースを見た後、ケーブルTVで何かやっていないか、番組表を見ると、<時代劇専門チャンネル>で、「雨あがる」をやっていて、ちょうど始まったばかりの時刻だった。
 ついつい最後まで見てしまうことに。

 主役・寺尾の役どころは、出仕の道を探している浪人役。武道はなにしろ抜群なのだが、なかなか勤め先が決まらず、その奥さんと一緒に旅を続けている設定。
 旅の宿で一緒になった町人たちにも、腰の低い対応をしているところが、結構役にはまっている。

 長雨が続き、川が渡れなくなって、宿泊客の気分が徐々にすさんできたときに、奥さんからもかたく禁じられている賭け試合をして金を作り、宿の全員で酒盛りをすることになる。これが、後々尾を引き、全体のストーリーと関連する。
 大名駕籠に乗って宿に戻ってくるシーンや、最後に近いところで、それまでは夫唱婦随を絵に描いたような奥さんが、啖呵をきるところなど、印象に残される場面が多々出てくる。

 2000年に制作された作品。当然、良い雰囲気で自然が残っている、あるいは当時のような街道が残っている場所をうまく見つけて撮影できているから、この映画が成立しているのだろうが、それにしても撮影場所の見つけ方と、(編集上での)つなぎ方にも感心する。

 ラストの余韻が心地よい。
全てを語らずに、美しい海の見える山なみの道で浪人夫婦が立ち止まる。賭け試合をしたという理由で、浪人を召抱えることを一度は止めたものの、奥方に一言言われて考え直した殿様の指令で、配下の武士がその浪人を馬で追いかけるシーンが、2回ほど入った後で、キャストのクレジットが流れていく。

 原作を知らなかったのだが、そのクレジットの最後で、ああ、やはり周五郎の作品だったか、と頷いてしまう。
 うまく見られてラッキーだったと思わせる作品。


riviera70fm |MAIL