Simple Song
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2002年09月19日(木) 土から生まれた姫君。(3

そうやって 

守られる事 愛される事

…を知り感謝しつつも
元来 明るい少女である樹は
塀の向こう側の世界を父・母以外の人の姿を見たいと
そう思っていました
思ってはいるけれども
彼女は父と母の事を思うと、
この向こうへ行こう
そう決心することは出来ませんでした

迷う

ということ
迷うという事はそれほど本気で思っていないということ
そういうことだと、樹は知っているから
塀の向こうへ行こうとはしませんでした

ところが
樹が行こうとしなくても
こちらに来るんだね

ある日、好奇心いっぱいの少年が
彼女の部屋の塀の上に現れました
少年の名は 浪

怖いもの見たさで塀の上を上ったら
そこに美しい少女がいました

彼女を気に入った少年は
こっそりと毎晩やってきて
あれこれと自分の一日の出来事を話したり
こっそり歌を歌ったり
楽しい時間を過ごしたのです

その少しの時間でも、
違う世界を見た樹は
その少年の夜毎の来訪を楽しみにしたのです


続く


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