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2002年09月20日(金) 土から生まれた姫君。(4

その地域一帯を守護する大名が
北東の端に現れた
美しい少女の話を聞きつけました

丁度、雨季の頃でしたので
体調を崩す人が続出しており
物の怪の仕業ではないかという噂もありました

そんなときに突如として現れた
その妖しげな少女に
大名は、
少女が物の怪である
と、強引に断定してしまったのです
いかんせん、人を惑わす物の怪の討伐は
極秘裏に行われることになりました
配下の腕の立つ若者ばかり集め
大名はこう言いました

「物の怪は美しい少女の姿という話だ
 お前達はまだ若輩ゆえ、惑わされぬように
 どんなに美しい姿でも
 その物の怪は人の世をかき乱す者
 お前達の肩に、
 この国の民の幸が託されている
 見事、物の怪の首を取った者には褒美を取らす
 我が国のためだ…頼んだぞ」

主の前で跪く5人の若者は頭を垂れて
威勢良く
「必ずや討ち取って、馳せ参じます」
と近い、その国の東北に位置する
「物の怪の住まう館」へと向かったのでした

しかし、5人も人がいれば、
中には必ず一人うっかり者がいるものです
極秘裏の計画、故に散り散りに出かけた彼ら

 一、二の三で討ち取ろうね

と、マラソン大会で一緒に走ろうと誓い合う
お嬢さん達のような約束をして
出発したのですが
その中の一人
福島・太郎座右門・雅真は
国一番の槍の達人だったのですが
部類の甘いもの好きかつうっかり者の
布袋様のような
それがまた、人のいい男で
行く先々で、友人知人が沢山出来るような男でした

北の端の東の村には
宿泊施設など無い小さな村でした
雅真はとりあえず村の一番南端にある
農家に世話になることになったのです

続く


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