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2003年04月25日(金) こっそりぬけだして。




やすくんの実家でお泊まりした朝。








「・・・きき?」



小さな声でやすくんが私を起こした。
時計を見ると、まだ5時30分。
「どうしたの?」
まだ半分しか起きていない頭では
こんな言葉しか出てこない。

「服に着替えて。出かけるよ」

小さな声でやすくんが思いもかけないことを言った。
よく見ると、やすくんはもう着替えていた。
家で過ごすとはいえ、お客さんを迎えるにはちょっとラフすぎる格好。
Tシャツにジャージのパンツ。

「・・・どこに?」
せかされるまま布団を抜け出したものの
やすくんの考えが読めずにとまどう。


「ほら、朝は一緒に歩くんだったろ?」


一緒に歩き始めていたけど、まさか実家でもやるなんて。
それより、そんな積極的なやすくんが不思議だった。

急いで着替えて、寝癖を直して
隣の部屋で寝ているやすくんの両親を起こさないように
そっと部屋を出る。

夜の間に雨が降ったようで、道路は濡れてたけど
返って空気が澄んでいるような感じがして気持ちがいい。
早速、土手の方へ向かって歩いた。

やすくんの家は商店街の真ん中にあるから
路地を抜け出すまでは無言。
朝の散歩は空気もおいしいし、人もほとんど歩いていないから
気持ちいいんだけど
やすくんが私を起こしてまでしたかった理由がよくわからなかった。

土手にあがって、川沿いを歩く。
ここまで来ると周りに家はほとんどないから、気を使わないで話せる。
「どうしたの?今日は」
やすくんに聞くと
「昨日から実家で手伝いしてただろ?今日と明日も。
 ずっと家にいちゃ、息が詰まると思って」
今日は、やすくんの実家で一つ行事がある。
その準備のために、昨日の朝からずっと手伝いをしてきた。
そんなに大変な仕事じゃないし、
やすくんの両親もとてもよくしてくれるから
苦痛はないんだけど、
でも、やっぱり家にいる時みたいにゴロゴロするわけに行かないし
まだ仕事の見通しがつけられない状態の今
ペースがつかめず、全力疾走しているかんじ。

そんな私のことを思って、一緒に散歩に出かけようと思ってくれた
やすくんの気持ちが嬉しい。


やすくんの小さい頃の話や、道路脇に咲いたタンポポを見ながら
二人で歩いた。

家につくと、すでに起きて準備を始めていた両親に
「朝早くから、大変だねえ」なんて言われて
二人で顔を見合わせて笑った。



こうやって二人の時間を
こっそり見つけてすごすのも
いいのかもしれないなって思った。


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