:::排出系列:::
俺が明日死んだって、地球は回っているんだから。
診察室 白いベッドと点滅する安蛍光灯 目の下の隈はコンシーラーも隠せない 鳴り渡るサイレン 褐色の肌にくちづけを 金属音のような耳鳴り 自ずから引き隠った内側は 何も映さず何も通さぬ居心地の良い空間です 呼ぶ声と引き返す足音 止まらないアイドリングを密かに待つ 疲れを表面化せず 隠す言葉も特にはない 散り果てた枝 白い小道 忘れ難い温もりも瞬時に消える粉雪の轍 引き留めても良いの 今ならまだ間に会うのなら 磁石みたいに引かれ合うのは 憂鬱みたいにうんざりしない どんな手法でどんな魔法で あなたを騙せば良いのだろう 蜘蛛のように自由を手玉に 蝙蝠のように夜に潜む 悲しい空は もう要らない 残された選択肢と使われなかった言葉がほら もうそこ迄溢れています 誰かの手引きも得られないままになるなら 此処であたしは息絶えよう 足手纏いになるのなら何も知らぬまま消えた方が楽 除外する手をはねつけて どうにか独りで逝くのだから もう誰一人泣いたりしないで あたしを空に返して下さい
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